浴衣と夏祭り。
「お祭りかぁ」
「どうした」
あっしはボスとお酒を買うついでに散歩してて、ふと掲示板に貼ってある紙に目を当てる。小学生が描いたポスターには『夏祭り』と書かれ、下には日時と場所が記載されていた。
立ち止まり見つめるあっしを飢えた仔犬とでも思ったかボス、
「行ってやるから酒屋行くぞ」
「うんっ」
ボスの腕に抱き着いて頭撫でられつつ道を行った。楽しみだな夏祭り。あれでも夏祭りとかって在り来り過ぎない? ヒロインが浴衣着て周りにちやほやされ、色々やって最後にキスとか。いやスクアーロやボスとキスなんてしないししたら殺されるけど。
まあ花火はやらないみたいだし、浴衣ないもんあっし。でも二人の浴衣は見たい。甚兵衛じゃなくて。スクアーロは灰男の神田ユウみたいな髪型で、ちょっと胸元が開けて。ボス……あーでもボスが甚兵衛は似合う絶対に。
浴衣は当日二人と買いに行こう。だって今から言えばあっしまで着る羽目になるから。
ってな訳で当日のお昼過ぎ。祭は十七時半からだからその間に二人を連れ出して、そうだデートしよう。浴衣デート。今十四時五十分だから着付けして貰って、どこかぶらぶらしようかそうだ。
「スクアーローボスー!」
「あー? 祭にはまだ時間あんだろぉ」
「まあそうだけ、何で知ってるのさ」
「寝言で言ってたぞぉ、ボスが」
「嘘おぉぉ?!!!!」
「嘘だろ」
「ちなちの寝言だぁ」
「……、ボス〜」
「騙されるてめーが悪ぃ」
「ううう」
「ザンザスに振られたからって俺の方に来んなよ」
「だって浴衣デートしたいんだもん」
「?!」ボスと鮫、同時。
「着付けして貰って、時間までぶらぶらするの」
「………後一時間待て」
「だからゲームでもしようぜぇ」
そんなに浴衣が着たいらしい。やっぱりイタリア人だ。
「浴衣はちなちが見立てろ。いいなぁ?」
「勿論さ!ボスもスクアーロも絶対似合うやつ見付けたんだ〜」
「なら買ってくれば良かったじゃねぇか。カード使え」
「着付け解んないもん」
「調べりゃいいだろうが。何の為のPCだぁ」
「安心しろ。襲いはしねぇ」
「あれ? 二人共ここでの着替えキボンヌ?」
「楽しみだなぁ」
「ふん」
「急に嬉しそうにしだしたよ。さっきまで煙たがってた癖に。まああっしも楽しみさー」
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