主役がおっさんなのに人気とか凄いよね。
「スクアーロー」
「ん゙?」
「あのさ、」
ちなちがなにか言いかけたと思ったら一般的なチャイム音。つい癖でインターホンに出そうになると、
「だめ!」
なんて俺を押して阻止。ザンザスも気に障ったらしく「どうした」と立ち上がり俺に巻き付くちなちの腕を引いた。
ちなちは混乱したように呻き、俺とザンザスの手を引っ張ると風呂場に連れてきて「ここに居て」と。は?
「お願い!」
「何でだ」ザンザスが浴槽に腰掛けながら。
「ひ、人が来るんだ…てか来た…」
もう一度チャイムが鳴り、それを聞きながら俺とザンザスは黙ってちなちを見続ける。
つか言うの遅くねぇか?
「だって二人には何時間も、下手したら半日以上外に居て貰わなくちゃならないから、考えてたんだ…」
「カスが。てめーの頭で解決策が出ると思ってたのか」
「とか言いつつ膝に乗っけてんじゃねぇ」こいつ等のふざけっぷりに嫌気が差しつつ、「誰が来たんだぁ? ダチか?」
「ちなちを好きなガキだったらかっ消す」
一般人巻き込むな。それでも暗殺部隊ボスか。
「お兄ちゃんが居るの知ってるよね?」
「あぁ。別々に暮らしてんだろぉ?」
「そう。お兄ちゃんには彼女さんが居て、時々様子見に来るんだ」
「……つまり今鐘鳴らしてる奴はソレか」
「うん…」
「はぁ…。もっと早くに言えよぉ…」
「カス」
「…ごめんなさい」
珍しくふざけずに反省を現すちなちにちょっとだけだが好意を覚えた。
「しゃあねぇから待っててやらぁ」
「仕方ねぇ。感謝しろよドカス」
「ありがとう」
ちなちは俺とザンザスに抱き着いて笑みを見せ、こっちまで口元が緩む。いや、和んでる場合じゃねぇな。
「暇潰しすっからゲーム持って来る」
「酒とつまみもん持って来る」
「解った。あ、靴とか隠さないと…」
「カスのくせに小賢しい奴だな」
俺は携帯ゲーム機及びカセット、ザンザスはどこぞの店で買った酒を手に風呂場に篭る事に。
「ちょこちょこ見に来るよ。騒いだら殺すからね」
「えげつねぇ動詞が」
「安心しろ。カス鮫の口に酒瓶突っ込んどいてやる」
「愛してるよ」
そうしてちなちは風呂場の戸を閉め、狭い室内にはザンザスと俺だけという、微妙な。つか俺も浴槽の縁に座りてぇんだがよぉ。ザンザスがしつこい中級ボス的に塞いでっから座れねぇ。
仕方なく床に胡座をかいてゲームの電源を入れる。
『ピコッピコピッコ、ピッコ』
「うるせぇ」
早速酒瓶が突っ込まれたのは言うまでもない。
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