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素晴らしき。









 鮫が落ちてた。

 いやいや、あの人食いで海の肉食怪獣じゃなくてね?

 長い白銀の髪と吊り目で銀色、白いけどちょっと血色の悪そうな肌を持つ虐められっ子の日本語で言えば鮫。イタリア語でいえばスクアーロって人が、道端に落ちてる((てか倒れてる))。


「……」


 道ゆく人は皆彼をスルーしてるけどあっしはスルー出来なくて、しゃがみ込み彼のさらさら髪が生える頭皮を指で突く。

 てかさてかさ、これ十年後じゃね? 十年後の三十二歳のスクアーロじゃないか?


「…」


 どうしよ、肩揺さ振っても起きないよ。放置してたら危険極まりないし、このまま起きるの待ってたら通行人にあっしが頭可哀相な子だと思われる。

 取り敢えず鮫さんを引きずってかなきゃ。制服姿の中学生が三十二歳両手で引っ張る姿って間抜け…。





















 どうにかスクアーロを家の中まで引きずって来れたんだが、どうしよう。てかまず運んでくれた善良な通行人さんに感謝しなきゃ。

 今は玄関からずるずる引っ張ってリビングの真ん中に寝かせてるんだけど、


「…死んでない、よね?」


 ふと気になった事。あまりにも静かだから息してないんじゃないかって思う。

 スクアーロの上に跨がって鼻に耳を近付け、ってかその前にこの端整すぐる顔に見とれてしまって。

 …どきどきする。

 睫毛長い。鼻筋しっかりしてて、特に髪の毛さらっさら。気持ちいい。

 あ、息確認しなきゃ。

 再び耳をスクアーロの鼻に近付けると、頭がすっごい力で圧迫される。鷲掴みってこの事かな。


「痛いぃぃぃ」

「ならどけぇ!」


 うわ、声大きい…。


「あ、起きたっ?!良かったぁ!」

「な…っ」


 生きてる事と喋れた事とスクアーロの声生で聞けた事が嬉しくて、咄嗟に彼の片手を両手に包んだ。おっきい手。


「ぃ、いいから下りやがれぇ!見えてんだよぉぉ!!」

「あ。ごめんっ」


 手を放して素早くスクアーロの上からどいた。

 床に手を着きながら上半身を起こす彼は、はっきり言って色っぽい。目付きとか。























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