自ら当たりに行ったのさ。
何故か三次元っつー世界に飛ばされた俺は何故か一人暮らししてるガキと暮らしてる。いや、事情知ってんのがそいつだけだから仕方ねぇんだ。言っとくが何もヤってねぇぞ。
こっちに来て早三週間経ち、こっちの世界は元の世界と対して変わらねぇからかすぐ慣れた。
だが捌けねぇのがちっと、いやかなりつまらない。
「あの、すみません」
あのガキが好きだっつー猫の写真集見てたら女が話し掛けて来た。何だぁ?
「お暇でしょうか? もし宜しければお茶でもご一緒、」
「興味ねぇな」
店内の時計に目をやると十六時過ぎ。そろそろ帰って来るだろと書店から出た。
「あ、あのっ」
しつこい女がまだ着いて来やがる。いや確かに美人の部類だろぉが、どうでもいい。こっちに来てから欲処理してねぇけどなんかな。
「あんましつけぇと下ろすぞ」
剣は居候中の家に置いてあるが。
たじろぐ女を見てるとその背後に見慣れた制服着たガキが二人歩いていて、その片割れは俺が世話になってんだかしてやってんだか微妙な奴だった。
「ゔお゙い」
「む?」そいつが足を止める。「あ、スクアーロ」
またいつものように俺んとこ来て抱き着いて「ただいま」なんて平和な言葉を言い、俺に着いて来た女を見遣った。
「? 誰だいこの美人さん」
「知らねぇ」
「あ、逆ナンか。そーかそーか」
「あの…こちらは…?」
「あっしはス、」
「てめーみてぇな女に言う義務ねぇよ。行くぞぉ」
こいつの腕引っ張ってしつこい女とさっきまでこいつと一緒に居た野郎から離れる。
「え、ちょ…トモダチがっ!」
「知るかぁ!なに男と腕組んでんだてめーは!」
「なにそれヤキモチ?」
「帰ったらかっ捌いてやる」
「何だよーマグロのカルパッチョ作るからさ」
「物に釣られる程ガキじゃねぇ。まずかったら絶対ぇ殴るからなぁ」
「釣られてるじゃないか」
こんな馬鹿な事ばかり話して、だけど俺は嫌いじゃない。
この馬鹿が居るならもう少しだけ、ここに居ていいと何故だか思えんだ。
「スクアーロスクアーロ」
「何だぁ?」
「AV借りたから見ようよ」
ガンッ
「大丈夫っ?!」
「…………てめーのお陰でな」
「てか石頭だな。電柱が軽く欠けてるぞおい」
やっぱ帰りてぇ。
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