『恋人』は頭にない。
「ん?」
学校の帰宅途中駅の方へ寄り趣味の書見物(本屋巡り)をしているとここ近々で見慣れた白銀を見、でもこんなところに居る訳ないよと本棚に目を戻す。
すっかりいつもあれが置いてあった本棚には他のものが埋まっており、世界からリボーンが失くなってしまったのだなと実感。
溜息が洩れ棚の間を移動してると、長身長髪顔立ち共に目立つ事間違いなしの人が。
さっきは見間違いだよねと見過ごしたけど、これはもう間違いないでしょう。
「スクアーロ?」
「ゔぉ?!」
「わーわー!煩いっ…」
周りの人があっし達を一目見てまた逸らすとスクアーロの口を塞いでた手を退かす。
「小声でお願いするよ。君も変な目で見られたくないでしょう?」
「お、おう…」
うん、それが小声のつもりなのかは解らないけど、まあ良しとしようか。
「なにしてるんだい?」
「ん゙…」
スクアーロの手に持つ本を覗くと。
「……鮫の写真集ですか」
「いや、俺は…っ」
「小声で。欲しいかい?」
「……」
口をつぐんで黙っちゃったスクアーロ。まあ欲しいなんて言わないだろうけどさ。
「自分で買う」
そう言って本を棚に戻し長い髪を靡かせながら書店を出て行く。おっとあっしも出なきゃ。
スクアーロの後ろについてってその横顔を眺めた。本当に綺麗に整ってるなぁ。
「何だぁ? ジロジロと」
「あ、ごめん」
綺麗とかかっこいいとかは敢えて言わないで置く。だって絶対頭とか叩くもん((真っ赤になりながらね))。
「慣れるの早いよねって」
「あ゙ぁ…? このくれぇで慣れんのに時間かけてたらヴァリアーナンバー2の名が廃るだろぉ」
「そだね」
「それよりお前、横来い」
「え?」
「危ねぇだろ」
背に手を回されてぐいっとスクアーロの隣まで押された。しかも何気に歩道側。いやでも多分こいつはそういうの気にしないと思う。だって傲慢な鮫だし。
あっし達の横を通ってった人を見て、ちょっとスクアーロに我が儘してみようと思い付く。
「手繋ごうよ」
「はぁ?!なな、なに言ってやがるっ」
「寒い!」
「……っ、」
真っ赤になってるよ、面白ーい。
からかい甲斐があるなぁと思ってたら手を引かれてスクアーロのポケットの中に入れられた。
「入れてろ」
「っ……なんか負かされた気分」
ポケットの中はスクアーロの熱で熱くて、って何かえろ…。
「あっし等親子に見えるかなぁ?」
「……いや…見えねぇよ」
「そっか。スクアーロ若いもんね。じゃあ兄妹!」
「こんな妹要らねぇ…」
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