道の端で立ち尽くす。
なにこれデジャブな訳がない。あっしは前回(前回というか去年の夏頃)にも同じ人物を道端で見付け、放って置けずに拾い、一つの季節を共に過ごした筈だ。
二ヶ月前に帰った筈のスクアーロが今目前で、人通りがそれなりにある道の隅っこで伏せている。
「……」
俯せで顔が解らないけれどこの暑苦しい銀の長髪は絶対にスクアーロだ。暫く彼を間近で見ていたあっしが言うのだから多分きっと恐らくスクアーロに違いはないと思うかも知れない。
でもこの寝転がるスクアーロはどこかあっしに甘甘なスクアーロとは違う気がする。髪の長さや背丈なんかは全く同じだけれど服がシンプルというか手袋が黒いというか、
「もしや現代の…!」
そう叫んだ時足元のどちらかと言えば大きい石ころを踵で踏んでしまい、氷上にでも居るかのようにずるりと転ぶ。勢いよくお尻を打ったのでそれはもう痛いのなんの。
「いっ……! うう…厄日だ」
ジャンプには三十路スクアーロが出なかったし三次元で再びスクアーロ(現代)を見付けちゃったし腰痛くなるし。あっしがなにをしましたか!
少々憤りを覚えながら立ち上がると真下のスクアーロが小さくだが呻いた。どうやら今のイカスヒップで起きたらしい。
「もしもーし」
「………」
「ス、スクアーロォー?」
スクアーロに触ったらスピーカー並の怒鳴り声を発することは頭に残っていて、見えないスクアーロの顔を覗くように上向けた顎。後方で通行人が一人歩き去った。きっと変な子と思われているに違いない。あああ、早く家に帰ってゲームを、
「うわ!」「うお!」
重なる意表を突かれたかのような声。
寝ていたスクアーロが突如その大きい身体を起こしたのだ。
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