2-5
殺す覚悟は出来ない…。」
《そうか…》
「でも!!
生きるために闘い続ける覚悟は出来る!!」
やっぱり殺すための覚悟なんてしたくない。どうせならばどんなにつらくても生き抜く覚悟の方が何百倍もいいに決まってる。
《…それがお主の答えならば生き抜いてみろ、この世界を。我が力と共に、
お主を主と認めよう。》
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暴風が止む。しかしまだ埃がたっていて舞白の姿は見えない。暫くすると視界が晴れていく。
そしてすべてが晴れ、舞白の後ろ姿が現れた。
『おい、何が起きたんだ?』
舞白の姿を確認した老人は問いかけた。その声に気付いた舞白は老人の方へ振り返る。その顔をみた老人は驚きで目を見開いた。
『その目!光怨斬(コウエンザン)が主と認めた‥?!』
「目?光怨斬?何だそれ。」
老人が驚くのも無理はない。本来舞白の目は黒だった。しかし今の舞白の目は決して黒とはいえない、紅の色をしていた。
『…お主には知る権利がある。儂が知るすべてを話そう。だがその前に、
店を片付けるのを手伝え。』
周りを見渡せば、暴風で飛ばされ辺りに散らばる武器の数々。話の前に店の中を片付けることから始めた。
***
ある程度、店内を片付け、二人は椅子に座った。
『‥光怨斬──それは己の意志を持つ剣なんだ。光怨斬について話すにはある伝説を知る必要がある。この世界に昔から伝わる伝説を知っているか?』
老人は問う。だが先ほどこちらの世界に来たばかりの舞白は知るはずが無い。
「知らない。」
『そうか。じゃあ最初から話すとしよう。この世界は500年毎に魔の支配がおとずれるんだ。』
魔の支配は今から丁度500年前に起こった。魔の支配とは名前の通り魔が世界を支配すること。支配されてしまう理由は500年毎になぜか魔の力が増幅する。その力に飲み込まれ世界は魔の物になってしまう。
「500年毎におとずれて今が丁度500年前って…」
『‥‥今が丁度魔の支配の年なんじゃ。ここ数年で魔物の出現率が上がっている。』
「でも、500年毎に魔の支配があったんなら、この世界は今魔に支配されているってこと?」
俺が見た限りここは支配されているようには見えなかったけど‥、っと続ける舞白。
『当たり前だ、今は支配されてないからな。500年毎に起こるのは魔の支配だけじゃない。もう一つの伝説も同時に始まるんだ。』
「もう一つの伝説‥?」
もう一つの伝説──
それはある勇者達の伝説─
魔の伝説は多くの者に語り継がれた、しかし本当の伝説はごくわずかの者しか知らない。
本当の伝説──
『光と闇、すべての伝説をお主は知らなければならない。』
老人は語る。
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