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3-3

太陽は沈み月が町を照らし始めた頃、舞白はソウハ町の中心部に戻ってきていた。 

本来武器購入に使う予定だったお金を服と宿代にあてることにした。まずは被服屋に向かう。制服だとやっぱりこの世界では浮いてしまう。制服と大剣はミスマッチだった。出来る限り周りにとけ込んだ方がいい。


「まだ被服屋ってやってんのかな‥。」


そう思ったが、被服屋に着いてみるとまだ灯りが点いていたので心配無用だった。

被服屋の扉を開き、中に入った。



数十分後、舞白は被服屋から出てくる。舞白の姿はもう制服ではなくなっていた。上は黒のタンクトップと灰色のパーカー、下はカーキ色のズボンにブーツ、腰に茶色のウエストポーチを身につけていた。


(RPGの主人公を尊敬したわ‥。)


実はこの格好に決まる前、試しに鎧を着てみたのだが、重すぎてまともに歩くことも出来ず渋々断念したのだ。


「絶対筋力つけたら買ってやる…。」


そんなことをブツブツ言いながら次の目的地の宿に向かう。





***

『いらっしゃい。』

「ええっと、これで何泊出来ますか?」


一番安い部屋でいいので、と残ったお金すべてを出した。


『これだと二泊出来るわよ。』

「じゃあ二泊でお願いします。」

『はいよ。』


お金を支払うと部屋番号の書かれた鍵を渡された。

「204‥204‥あった!」

部屋に着き鍵を開け扉を開く。部屋にあったのは窓とベッドとトイレと小さな台所。舞白にとってはそれだけあれば十分だった。


「疲れた…。」


ベッドに転がり目を閉じる。今日は色々なことが起きすぎた。


(二日しか泊まれないんだ。どうにかしてお金を稼がないと‥。)


お金も問題だが他にも舞白にはこちらの世界の知識がほとんどない。


(やらなきゃいけないことだらけだな。)


知識が無いのは致命的だ。


(とりあえず明日はまたギルドに行こう。)


ギルドには資料も置いてあったはずだ。掲示板も確認して出来そうな依頼は片っ端からあたろう。


自分の元いた世界に帰るための手がかりも探さなくてはならない。

そう思いながらも疲れと睡魔には勝てず、舞白は意識を手放した。







長い一日が終わる────



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あきゅろす。
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