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薔薇ノ由愛
―始まり―

僕が居た場所。



真っ白な場所。


此処は…何所なの?


僕は何にも無い殺風景な景色の中
歩いてみる。


誰も居ない
何も聞こえない
何もない、


そんな空間


四方八方見渡しても変わらない。


その前に
どうして僕は此処に居るんだろう


何か……


何か、大事な事があった筈…だけど
思い出せない。


その瞬間、

いきなり真っ白な空間が真っ暗な空間に変わった


僕はびっくりしてまた辺りを見渡す

だけど、
やっぱり何も変わっていなくて


少し、がっかりした気持ちが入り混じれば
また歩き始めた

すると、
真っ暗な空間のその奥から人の気配がした


ジャラ、ジャラ…


鎖のような重い音が真っ暗な空間に響き渡る


こんなところに誰が居るんだろう?


僕はその音の方向に視線を向けた。


そこには、幼い少女が居た


血のように赤い髪。
白いワンピースを着ていて
手足には手械が繋いである

その少女の目は虚ろで
僕を見つめた。



"貴方も同じなのね…"


僕の頭の中に響き渡る少女の声。


「…同じ…?」


僕は思わず、聞き返してしまった。
けど、その少女は何も言わずに後ろを向いた。


そしてそのまま真っ暗な空間に消えるように行ってしまった…


一体、なんだったんだろう


さっきの少女の言葉を思い出してはさっぱり解らず
何も聞かなかったことにしようとした時


自分の体が熱くなった気がした。

なんか…鉄くさい匂いが――…


自分の体を見てみた。
その鉄くさい匂いは血で―…
僕の体を染めていた


いつの間にか…!


自分の血を見つめながら頭が回る
僕自身が慌てている。

僕の血がなんだか懐かしく感じる
それよりもなんか、悲しくなっていた気がする…

でも、結局解らなくて。
ただ、ただ突っ立っていた


すると今度は緑の髪をした男の人が僕の目の前に現れた


"お前はいつか真実を知る事になるだろう"


静かに落ち着いた声が響く。
でも、その男の人が言っている意味が解らない

「真実……?」


また思わず聞き返してしまうが、その男の人はもう居なかった。


「…もうッ…なんなんだよ……」


吐き捨てるかのように、自分に、言い聞かせるかのように呟いた。
その時、

自分の頭に"何か"が流れ込んできた―…











薄暗くて
窓も無くて


でも、


何台も寝台があって
無数の死体があって


白衣を身にまとっている人が数十人居て―…



周りを見たら何かの装置の中に僕が居た

僕は安らかに目を閉じている



ボコボコ、ボコボコ



水の中で呼吸しているようだ



でも、その"僕"は僕自身では無くて


"僕"に似ている人間だとわかった



体にいくつものコードみたいな線が繋がっていて
背中には番号みたいなのが刻まれていた


"そいつ"は目を開け、僕を見ている


口がつりあがって笑っていた


「何が楽しいの…?」


"そいつ"に話しかけたけど何も言わない
笑っているだけ


次第に辺りが僕とそいつだけになっていた。



"君は誰なの?"


頭の中で会話をしているかのように話しかける



"俺ハオマエダ"


"僕が君…?"


"ソシテ造ラレタ存在ダ"


"え……?"


頭が、痛い


なんだか気持ち悪い―…


なんか、なんかこの感じ――…

















オマエハ要ラナクナッタ化ケ物ダ



オマエハ用済ミ二ナッタンダ



ダカラ代ワリ二俺ガ造ラレタンダ












僕の、僕の…


記憶……が……途切れた……



大切な……何かを知っているまま……




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