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txt〜雲雀×綱吉〜
誕生日
「誕生日」



綱吉は朝から悩んでいた。

5月5日…その日は恋人となった雲雀恭弥の誕生日だった。

プレゼントをしたいが雲雀の欲しい物が想像もつかない。
相談しようにも肝心のリボーンは朝から出掛けていて居ない。
だからといって雲雀と付き合っていることを話していない獄寺と山本には相談できない。
どうしたものかと頭をかかえていた。
綱吉は自分なりに考えて1つの結論にいきついた。
「よし!部屋で悩んでてもしょうがない!外に行こう。」
そう言って立ち上がり商店街へと急ぎ向かった。

今日は5月4日。
1日中、時間の許す限りいろんな店に行って実際に物を見て決めようと考えたのだ。
ところがそんなに甘くはなかった。
友達のいなかった綱吉にとって初めてのプレゼント選びのせいか見れば見るほど迷ってしまい、なかなか決められないでいた。
それが大好きな人への物ならなおさらだ。


歩き疲れた綱吉は少し休憩をしようと公園へとやってきた。
ぼーとしながらも雲雀へのプレゼントのことを考えていた。
「はぁ〜どうしよ…。」
その時だった。
「大きなため息だね。どうしたの?ツナクン。」
ちょうどため息をついたところに急に声をかけられた綱吉は声の主の方を見た。
「きょ…京子チャン!」
声の主は笹川京子だった。
綱吉はびっくりしすぎて思わず立ち上がってしまった。
京子はいつもの笑顔で綱吉の側まで来た。
「ツナクン、どうしたの?悩み事?私で良かったら相談にのるよ?」
綱吉は少し悩んだ。
(京子チャンなら何かいいアドバイスを貰えるかも…。雲雀サンの名前を出さなきゃ平気だよな。)
そう考えて相談することにした綱吉は立ち話もどうかと思い、少し連れて自分の隣をあけ京子に座るように促した。
京子が座った事を確認した綱吉は1日悩んでる事を話し出した。

「そっか…誕生日プレゼントかぁ。うん!それはすごく悩むよね。」
「うん。商店街をずっと見て歩いてたんだけど、余計にわからなくなっちゃって…。京子チャンならどんな物をプレゼントする?」
綱吉は聞いてみた。
京子は少し悩んで答えた。
「ツナクンがその人の事を想って、一生懸命考えて選んだ物ならどんな物でも喜んでくれると思うよ。」
綱吉は京子の言葉を聞き、自分に置き換えて考えてみた。
(雲雀サンがオレの事を想って選んでくれた物なら…どんな物でも、道端に落ちてる石ころでもきっとすごく嬉しいと思う。そっか…そういうことなんだ。)
綱吉は何かわかった気がした。
「京子チャン、ありがとう!なんかわかった気がするよ。何をあげるかじゃなくてどんな物でもどれだけ気持ちを込めたかが大事なんだ。」
綱吉は笑顔で言った。
「ううん。ツナクンの役に立てたなら良かったよ。」
京子も笑顔で答えた。
そのまま京子は綱吉に提案をした。
「そうだ!ツナクン、この後時間ある?プレゼントの買い出しに行かない?できてる物を買ってあげるのもいいけど…手作りなんてどうかな?」
綱吉は少し悩んで答えた。
「…手作りかぁ。うん!いいかも。あっ…でも、何作ろう。」
京子は急に立ち上がって楽しそうに話し出した。
「誕生日っていったら〜やっぱりあれを作るしかないよ!私が作り方を教えてあげるよ。そうと決まったら商店街に急ごう!」
京子は綱吉の手を引っ張って歩き出した。
綱吉は何を作るのかわからないが京子のことだから安心だと思い、ついて行くことにした。


2人は商店街にあるスーパーにやってきた。
綱吉はカゴを持って、京子の後をついて行った。
京子は手慣れた感じで作るのに必要な物をカゴの中に入れていった。
(こういう時の女の子って頼もしいよなぁ。良かった…京子チャンに相談して。)
綱吉は思った。
材料が揃ったのか京子はレジへと向かった。
綱吉も慌ててレジへと向かった。
会計をすまして、袋詰めをして2人は綱吉の家へと行くことにした。
家に着いてそのまま台所に向かった。
材料を出して、作り始めることにした。
「さぁ、ツナクン作ろうか。」
「うん。京子チャンよろしくね。」
主に京子は作る手順を教えるだけで実際に作るのは綱吉である。
これは綱吉が申し出たこと。
大好きな人のためなら不器用でも自分の力で作りたかったからである。
(雲雀サン…喜んでくれるかなぁ。楽しみだな。)
料理は綱吉にとって初めてのことだらけですごく難しいことだった。
だが気持ちはワクワクしていた。
そんな自分に少し驚いていた。
この感情は綱吉にとっては初めてのものだったからだ。
誰かを好きになるとこんなにも変わるものなんだとびっくりしたが…悪いもんじゃないと思った。
綱吉はこれから雲雀と話したり、見たり、一緒に過ごすことによってもっと、いろんな感情が生まれてくるんだろうと思うと少し不安もあるけど楽しみや嬉しいの方が大きかった。


ピィー


オーブンの止まる音がした。
「ツナクン、スポンジが焼きあがったよ。あとはあら熱をとって、クリームをぬって冷蔵庫でしっかり冷やせばできあがりだよ。」
綱吉は感動していた。
「すごい…。すごいよ〜京子チャン!けっこーうまくできたよね?」
「うん。ちゃんとできたね。」
京子は笑顔で言った。
「でも…喜んでくれるかな…。」
綱吉は少し心配そうに言った。
「大丈夫だよ!ツナクンが一生懸命作ったんだもん。喜んでくれるよ。自信を持って!」
京子は笑顔で言ってくれた。
そんな京子の笑顔に綱吉は少し勇気を貰った気がした。
そして京子はそのまま綱吉の家で、リボーン、ランボ、イーピンたちと一緒に夕飯を食べてから帰って行った。
綱吉はお風呂に入り、ベッドに横になった。
明日の事を考えドキドキしながら眠りについた。


5月5日。


いつもならなかなか起きれない綱吉が今日は自分で起きてきた。


雲雀サンに喜んでもらえるかもしれない…。
雲雀サンが笑ってくれるかもしれない…。
なにより雲雀サンに会えるのが嬉しい…。



「キモチわりぃーぞ!ダメツナ!」
そんな事を考えていたら、勝手に顔がニヤケていたらしくリボーンに突っ込まれた。
綱吉はびっくりして振り返った。
「リボーン!後ろから声をかけるなよ…びっくりするだろ。」
「お前がニヤニヤしてるから悪いんだぞ。そんなことよりもさっさと行かなくていいのか?」
「お前に言われなくてもわかってるよ。じゃあ〜行ってくる。」
雲雀なら休みでも学校にいると思った綱吉の手には昨日作った雲雀へのプレゼントを持って並中に向かった。
並中に着いた綱吉は真っ先に応接室へ向かった。
応接室の扉の前に立ち、軽く深呼吸をしてノックをした。
ところがなんの反応もない…。
もう一度ノックしてみたが…やはり反応はない。
(雲雀サン…ここには居ないのか…。あとは。)
綱吉は次に居そうな場所…屋上へと向かった。
屋上は雲雀が昼寝をする場所。
そして、学校のある日の昼休みは2人で過ごす場所でもある。
屋上に着いた綱吉は応接室の時と同じで軽く深呼吸をして鉄の扉を開けた。
いつもなら開けた先に立っているはずの相手はここにも居なかった…。
それでも、屋上を一回りしてみたが居なかった。
(雲雀サン…どこに居るんだろう…。)
どーしても今日、プレゼントを渡したかった綱吉は並盛の町も捜してみることにした。
商店街や公園…いろんな場所を捜した。
だが…どんなに捜してもみつからない…。
綱吉は泣きそうになりながら、必死に不安を押し殺して捜し続けた。
町中を捜しきったが諦めることのできない綱吉はさっきは時間が早かったのかもしれない…そう思ってもう一度、学校に戻ってみることにした。


綱吉は再び応接室の前に来た。
さっきよりも緊張している綱吉は今度は大きく深呼吸して扉をノックした。
やはり…反応がない。
(雲雀サン…。)
落ち込んではいたがもう一度、屋上にも向かった。
綱吉はそっと鉄の扉を開けた。
やっぱり居なかった。
綱吉はため息をつきながら屋上に入り並盛の町が一望できるフェンスの近くまで行った。
「雲雀サン…会いたいよ。」
綱吉は呟いた。
やっぱり諦めることのできなかった綱吉はもう少し捜すため学校を後にしようと振り向いた瞬間誰かにぶつかった。
「あっ…つっ…ごめんなさい…。」
顔をおさえたまま謝った。
「ここにいたんだ…綱吉。」
ところが返ってきた声はとても聞き覚えのあるものだった。
「えっ…この声…。」
綱吉はそっと上を向いた。
「……雲雀サン……。」
そこにはずっと捜し続けた相手がいた。
「やっと…みつけた。」
雲雀はそっと綱吉の頬に手を添えて微笑んで言った。
綱吉は雲雀に会えた、嬉しさと安心感とその手の温もりにがまんできず抱きついた。
突然の事でびっくりしたが…雲雀も綱吉を優しく抱き返して聞いた。
「ワオ!どうしたの?積極的だね。僕は嬉しいけど…でも、なんでそんなに泣きそうな顔してるの?」
「だって…オレ…ずっと…ずっと…。」
綱吉は必死に涙をこらえながら雲雀の問いに答えようとしたが、雲雀への想いが溢れすぎてなかなか言葉にできなかった。
雲雀はそんな綱吉をみて言った。
「ねぇ…綱吉。もしかしてずっと僕のことを捜してくれたの?」
雲雀の言葉に綱吉は小さく頷いた。
「くすっ…。なんだ僕たちはお互いに相手を捜しててすれ違ってたんだね。」
「えっ?雲雀サンも?」
綱吉は顔を上げて聞いた。
「そうだよ。学校は休みだけど…どうしても今日は綱吉に会いたくてずっと捜してたんだよ。キミがなかなかみつからなくて不安で寂しかったよ。」
「雲雀サン…。」
綱吉は雲雀の言葉を聞いて少し驚いたと同時に自分だけじゃなく雲雀も同じ想いだったことを知って嬉しいと思った。
「ねぇ…綱吉。その持ってる箱は何?」
雲雀は気になったのか聞いてきた。
会えた嬉しさにすっかり忘れていた綱吉は笑顔で手渡した。
雲雀は受け取り、その場で箱を開けだした。
「…ケーキ?」
雲雀は聞いた。
「はい!そうです。オレから雲雀サンへのプレゼントです。オレが作ったんですよ。雲雀サンは甘いものは苦手でした?あっ…でも…抹茶なのでそんなに甘くはないと思うんですけど…。」
綱吉は必死に説明した。
(綱吉…可愛い…。)
雲雀は思った。
「たとえ…甘いものが苦手だったとしても、キミが僕のために作った物ならなんでも食べるよ。だけど…抹茶ってのは考えたね。和は好きなんだ。」
綱吉はその言葉が嬉しかった。
雲雀は思いついたことを綱吉に提案してみた。
「そうだ…これ今、食べたい。食べさせてよ…綱吉。」
綱吉は目を丸くして黙ってしまった。
だが…雲雀の頼み事を断る事なんて綱吉にできるはずもなく、恥ずかしかったが食べさせてあげることになった。
綱吉はスプーンも入れておいて良かったと思った。
「はい。どうぞ。」
一口サイズにすくって口元まで運んだ。
雲雀は嬉しそうに口に入れた。
綱吉はドキドキしながら感想を待っていた。
食べ終わった雲雀は綱吉を見て頭を撫でながら言った。
「おいしいよ…綱吉。」
「はぁ〜良かったぁ〜。」
綱吉は心底安心したおかげで雲雀に言わなきゃいけないことを思い出した。
「そうだ!大事なことを忘れるとこでした。」
「何?」
雲雀は聞き返した。
綱吉は今までで1番いい笑顔で言った。
「雲雀サン!お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう…綱吉。そうだ!来年も期待しているよ…キミの手作り。この先、ずっと僕を喜ばせるんだよ。」
「この先もずっと…。はい!オレ、頑張ります。」
そして2人はそのまま深いキスをした。
ケーキよりも甘い甘いキスは抹茶の味がした…。



終わり。


雪音のコメント



またまたここまで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
ところであたしはバカです!前のと終わりか一緒じゃね?あぁ〜こういう時ホントに思います…文才がほしいと!
雲雀さんの誕生日話でした。
こちに引っ越す前にブログの方で去年書いたものになります。皆様に楽しんでいただけたら幸いです。


                     雪音。


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