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治療させて!!

ランニングが終了し、皆が五分休憩し終われば始まるストレッチ。

敷地内にコートは12コートあるらしい。
今日は各学校でやるため、3コートずつに分かれる。
1〜3コートが立海、4〜6コートが氷帝、7〜9コートが青学、10〜12コートが四天宝寺となっていた。

ストレッチが終わればそれぞれのメニューが始まる。

その間このんは小屋でドリンク作りをしたり使用済みのタオルを洗濯機にかけたりしている。
時々倉庫にいって必要なものがあるか確認すればまた小屋に戻って洗い終わったタオルを外に干していく。
物干し場が沢山あって安心していた。
日干しの方が気持ちよくタオルを使えるとこのんは思っていたからだ。

一生懸命踏み台を使ってタオルを物干し竿にかけていく。
真っ白なタオルが日の光に照らされ眩しい。

「ぽかぽか…あったか」

んーっと背伸びをする。
それからすべてのタオルをかけていく。

全部が終われば、跡部から渡されたファイルをひよこリュックから取り出して見る。

「えっと…すごく甘いドリンクが、まるい?先輩…
甘いドリンクは、きくまる?先輩と、向日先輩と、芥川先輩と、とおやまくん。
さっぱりめが幸村ぶちょー、ひよしくん、におー?先輩、やぎゅー?先輩、鳳先輩、滝しゃん、えちぜんくん、さなだ?先輩、
薄めが…」

復唱して覚えようとする。
そのとき、取り出しておいた通信機から跡部の声がした。

跡『怪我人だ。至急こい』

一言いわれ、どんな怪我か分からないが救急箱に冷却シートを入れ、小屋からでて氷帝のいるコートに向かった。


そこには、膝から血を流す宍戸がいた。

「!宍戸せんぱい、血いっぱい…」
宍「あんま心配すんな、掠り傷だ」

とは言うが血が靴下にまで伝っている。
ここのコートは砂地ではないが、傷口を洗った方がいいと考え、ひよこリュックから2リットル水の入ったペットボトルを取り出し、水路近くに宍戸を引っ張る。

「座って、ください…」

渋る宍戸を押さえ、地べたに座らせ、水を傷口にゆっくりかける。
それから傷薬を塗り、できるだけ乾燥しないように軟膏を塗ったガーゼで傷薬を覆い、ラップのようなもので巻く。

宍「?なんで絆創膏じゃないんだ?」
「傷…早く治すの…かさぶたあまり作らない方がいいって…
保健室の先生におしえてもらった…です。
5分、休んだら練習おーけー、です。」

おわり…と治療が終わったと救急箱を片付ければ立ち上がる。

宍「おう…
サンキューな、暁来」

はにかむように笑って礼を言う宍戸にこのんも笑う。

「どういたしまして…です」

小屋に戻ろうかと思っていたらまた通信機から声が聞こえた。

白『一氏が思いっきり金ちゃんのボールに当たったんや…
急いで来てくれんか?』「あい…」


今度は四天宝寺だ。
ひよこリュックはペットボトルを詰め直せばダッシュで四天宝寺のいるコートへ向かう。


四天宝寺のいるコートに着けば、バンダナをつけた少年が腕を押さえていた。

一「いったぁ…!小春ぅ〜、慰めてぇー!」
金「まだ元気そうやね、ユウ君」
小「ふざけとる場合ちゃうやろ…」
遠「堪忍やぁ〜、ユウジ…」

腕が遠目でも(視力2.0だが)赤黒くなっているのがわかる。

「大丈夫…ですか?」

近寄ればおずおずと尋ねる。

一「アァ…?臨時マネのガキかいな…」

鋭い目で睨まれ、切原の時同様に怯えてしまった。
近くにいた財前の後ろに隠れた。

財「…ユウジ先輩、小さい子供苦手なんや…」
「…ぅ…わかったです…」

それでも、自分は何もしていないのに睨まれたのはショックらしい。
意を決してゆっくり近寄る。

「ちりょ…するです…」
一「いちいち怯えるんならやらんでえぇわ。コレやからガキは…
小春ぅ〜!愛の治療で治してやぁ〜」
金「いい加減にせぇ!ユウジィ!!
暁来ちゃんかわいそうやろうがッ!」

やはり拒絶され、更に悲しい顔になるが…
金色がいつものオネェキャラとは一変し、男らしい声を上げて叱りつける。
一氏は慌て、謝るが、やはり抵抗か拒絶か…このんを睨む。
顔を伏せていたがやがてガバッと顔を上げる

「…ッきらいでも…いいから…ッ
治療させてくださいですッ…!」

必死に今にも泣きそうな顔で訴える。
それには、皆が驚いた。
近くのコートにいた青学メンバーもだ。

「きらいでもいいですッ…!
でも、怪我の治療させてください…!!」

ギュッと力強く手を握りしめていた為か、気づかぬうちに爪が手のひらに刺さって血が流れた。

石「!暁来はん…手から血が…」
「お願いッ…です…!」

スッと綺麗な土下座をするこのんに、睨んでいた一氏は慌てた。

一「あ…アホかッ!んなことで土下座すんなや!
てか…手から血出とるやん!!」

このんの手を掴み開かせ、傷を見る。
一氏は置いてあった救急箱から消毒液を取り出して吹き付け、手際よく治療した。
もう片方も同様にだ。

一「これでえぇ…
お前アホやろ!睨まれたからゆーて自分傷付けんなや!
それと、んなことで土下座いちいちすんな!!」

怒鳴られ、このんはしゅんと落ち込んだ。

「ごめんなさい…」
一「〜〜!ッば、罰として俺の怪我治療せぇ!
上手く出来んかったらシバくからな!!」
「!…あい!!」

治療を許可され、ようやく嬉しそうな笑顔を見せた。

一「(ッ…何なんこの小動物…!)」

ほころんだ笑顔に一氏がキュンとしたのは間違いではないだろう。

金「(多分ユウ君、暁来ちゃん可愛がるやろうねぇ…)」
財「(…あ、絶対ときめいた)」

そんな一氏の様子にちゃっかり気づいてたりする金色と財前。

もちろんこのんや二人以外は気づいていない。
このんは一氏に負けじと手際よく赤黒くなっている場所の治療をする。
白石が先に確認したが、骨は折れていないようだ。
その言葉に半分疑問を抱いたが、このんはあまり考えないようにした。

中学生のテニスで骨折ってあり得るのだろうかと…
治療が終われば、ガキは嫌いと悪態をつかれたが礼をいわれた。

金色にユウ君はツンデレなのよ、といわれ[?]が頭に浮かんだのは仕方なかったりする。
終わったらひよしくんに聞いてみようと考え、四天宝寺のコートから小屋へ戻っていった。

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あきゅろす。
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