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IF.だいすき…………ごめんね

シ「……罪が新たな罪を犯したか……」


シニガミは見ていた。

日吉を庇い桃百合に刺されたこのんを。
何もない空間に手を翳す。

青い欠片が現れた。

そこに見えるのはもうひとつの結末。
シニガミは欠片をつまみ上げ呟く。

シ「……愚かな娘が幼き娘を刺し、森へ逃げるまでは同じ……
…………、この先に……幼き娘への救済が『ない』ことが、歪みだな。
救いはない……、愚かな娘に我が断罪を下すことしか」

欠片を仕舞い、シニガミは消えた。
終焉の違いを嘆きながら







手術室のランプはまだ消えない。
部員全員待ちたかったが流石の人数なため待合室では部長が代表として待っている。

桃百合から受けた傷は重体に至る程で臓器に達していると医師から聞いた。
助かる確立は、一割にも満たない。
……皆祈るしかなかった。

小さな優しい少女が助かることを


ランプが消えた。
扉が開いた瞬間、皆がそちらに視線を向ける。

医師が出てきた時幸村が掴みかかる勢いで尋ねた。

幸「先生!このんちゃんは……?」


懇願するような目を皆が向けるが、医師は悔しそうな、申し訳無さそうな表情で首を横に振る。

医「手術は成功しました
ですが……大変衰弱しきっているためもつかどうか……
……私共が尽くせる手はもう……」
跡「ッ……アメリカの医師に連絡するッ!!
間に合う筈だ!」

携帯を取り出して連絡を入れようとする彼の表情にいつもの余裕はない。

手術室から慌ただしく助手が出てきた。

助「先生!患者がっ……」

助手が何か医師に話せば急いで戻って行った。
何事かと思って皆が怪訝そうに見ていれば、ストレッチャーに乗せられたこのんが出てきた。
近寄ろうとしたが集中治療室に移動された。

再び出てきた医師はどこか困惑しながらこう言った。

医「……集中治療室に、向かってください。
患者が皆様をお待ちです」

その場にいる皆、医師のその言葉の意味に気付き目を見開いた。
ストレッチャーですぐに集中治療室に運ばれてこのんの姿を確認できなかったが、つまりは彼女が目を覚ましたということだ。

部屋に入れば、無機質な遅い電子音が響き看護師が慌ただしく仕事をしている。

そして、酸素マスクを付けられうっすらと目を開いているこのんがベッドに横たわっていた。
このんは、部長たちに気付き、微笑を浮かべた。

幸「このんちゃん……!」
白「暁来さん、分かるか?」

ゆっくりと、瞬きで返事を返した。
それから、か細く呟いた。

「…………わ…………しく……ん…………
わ……か…………し……くん……よ……で………………」

手「なんだ?何を…………!」

言葉を理解した。

『わかしくんを呼んで』

そう何度も言っているのだ。
そしてさらにこのんがそれを願う理由を理解してしまった。
悲しい結末を

跡「ッ!日吉は今呼んでくる!だから、すぐにくたばるんじゃねーぞ!?」
榊「ヘリは私が呼ぶ。
日吉をつれてくるのを頼んだ」

普段冷静な榊監督の表情には焦りが現れている。
幸村と竜崎先生がそれぞれこのんの手を握り締め、必死に声をかける。

竜「日吉君はすぐ来てくれるから頑張るんだよ!
ッ……頼むから、生きておくれッ……!!」
幸「諦めるな!
まだ俺の家のガーデニング見せてないだろう?
妹から連絡あったけどこのんちゃんの好きな福寿草が咲きそうなんだよ
このんちゃんは福寿草の花言葉みたいに『永遠の幸せ』を生きて感じてほしい!
なぁ、まだ消えないでくれよッ……」

このんは微笑を浮かべたまま、二人の声を聞いていた。
それから、微弱な力で幸村の手のなかでトントンと布団を人差し指で叩いた。

幸「!このんちゃん……?」
「……あ、の……ね…………」

それは、このんの最期のお願い事だった。

















跡「ッ!日吉はいるか!?」
切「跡部さん!?
暁来はどうなって…… 跡「いいから日吉を連れてこいッ!
早くしねーと間に合わねぇッ……」!跡部さん……?」
宍「おい長太郎、日吉呼びにいくぞ」
鳳「え?でも日吉……」
宍「あんな必死に言う跡部は今まで見たことねぇ。
……それぐらい暁来が危ないってことだろ」

走り出した宍戸に鳳がついていく。
それを横目に越前と財前は跡部に近寄った。

越「……ねぇ、暁来はどうなってんの?
嫌な予感しかしないんだけど……」
財「アンタだけ急いで帰ってくるとこみればなぁ……」
跡「……話してる暇はねぇ。」
越「なら、連れていってよ」

キングを見上げてそう言っている王子様は真剣な顔をしていた。
意味は余裕のない跡部にもわかっている。
越前が幼いあの少女にどんな感情を持っているのか……

跡「勝手にしろ。」

騒がしい音と共に宍戸と鳳に半場強引に連れて来られた日吉が現れた。

彼の表情には困惑しかない。
跡部は日吉が自分の近くに来れば歩み寄った。

跡「ついてこい日吉。
暁来がお前を呼んでいる」
日「!意識を戻したんですか……!?
…………でも、俺は…………」

煮え切らない返答に跡部は苛立ちを見せ胸ぐらを掴む。
宍戸たちが止めにきたが、跡部は叫ぶように言う。

跡「ウジウジしてんじゃねーよ!!
暁来はもう息絶える寸前なんだよ!!!
アイツの最期の望みかも知れないのにお前は払い除けるつもりかッ……!?」

日吉は見た。
焦りを露にし、懇願するように叫ぶ王を

その王の言葉は、残酷なものだった。

理解したくなかった。
純白な雪を濁したあの赤が、死の色だなんて。
あの少女が、死ぬだなんて

日「……このんが、死ぬ……?」
宍「どういうことだよ!?暁来が息絶えるって……
目を覚ましたんじゃねーのかよ!?」
跡「目は覚ました。
ただ、それだけなんだよ。
傷は臓器に達して、出血は抑えたが流した量が量だ。
即死しなかっただけ奇跡なんて言われて、目を覚ましたこと自体あり得ないくらいってな……
…………アメリカの医師に連絡したが、もう手遅れなんだとよ
アイツは今生きようとしてんだよ!
お前が来てくれることが幸せなんだよ!!
それなのに見棄てるつもりかッ……?!」

アイスブルーの目に嘘偽りはない。
日吉はやがて目を閉じ、考える。
こんな自分が行くべきか……
アイツの死に立ち会えるか…………



その答えはもう、決まっていた。
 

ーーわかしくん!わかしくん!

そう二回自分の名前を呼んで笑ってくれる大切な少女を、独りにしたくなかった。


日「ッ……、俺を、連れていってください。」

もう二度と裏切りたくなかった。

跡部はじっと見ていたが手を離し背を向けた。

跡「……来るやつはついてこい
ヘリに乗れる人数だけな」

走ってヘリに戻って行った跡部を日吉たちは追った。
乗り込んだのは日吉、越前、財前以外に不二、滝、切原たちだ。

ヘリの中では皆喋らなかった。
間に合って欲しい、ただそればかりで話す暇なんてなかったのだ。

病院のヘリポートに到着すれば(病院のため本当に走ってはいないが)駆け出すように集中治療室に向かう。
跡部がノックをし返事と共にドアを開ければまだ無機質な電子音は繋がってはいなかった。

少女はまだ『いる』

跡部が去る前より目は細くなっているけれども、目は開いていた。
胸元も上下に動き呼吸をしていることが分かる。

少女の目が、虚ろなまま日吉を捉えた。

「……、…………わ…………し、く……」

よかった、と笑っている。

覚悟を決め、日吉はこのんに近寄った。
竜崎先生がこのんの手を差し出してくれたためそのまま握った。

竜崎先生が握っていたためその体温が残っているが、微かにこのんの温もりもあった。
まだ、生きている。

それは嬉しくて、酷く悲しかった。

日吉は、震える唇で少女の名前を呼んだ。

日「……っ、このん……」
「……ごめ…………ね、わか……く……ん
くるし、めた…………」

ごめんねと何度も謝るこのんに、日吉は握る力を強めた。

日「なんでお前が謝るんだよ……!
苦しめたのは俺の方だろッ……
約束破って…見下して……お前を傷つけたのはッ……!!」
「……でも…………おも……だ、し…………て……くれ…た
…………も、だい……じょぶ
わか……く、は…………なか、ない…………で?」

握られていた手を持ち上げた。
そのまま、頬に触れる。

その時、初めて自分が泣いていることに気付いた。
情けない程、涙は止まらない。

不意に、黒い何かが枕元にあらわれた。
それと同時に首に冷たいものがあてられた気がする。
虚ろな目を凝らせば、このんにはハッキリとシニガミが見えた。

シ「…………時間だ」

その一言で全て理解する。

もう、自分は死ぬ。
首にある冷たいものはシニガミの鎌……

このんは、最期の力を振り絞って…………

笑った

せめて、自分の想いを全てこの人たちに……










だいすき…………ごめんね………………

シニガミの鎌が、このんの命を刈った。
失われ始めた体温と手の力に、日吉と幸村は目を見開く。
追い討ちをかけるように鳴り響く繋がった。電子音

日「このん……?おい、このん!
目を開けろッ……!開けてくれッ……!!」
幸「逝くなこのんちゃんッ……
なんで……、なんで冷たくなっていくんだよッ……!!??」

叫ぶ二人に反応し見守っていたメンバーが駆け寄った。

越「暁来ッ……!
テニス一緒にやるって約束破るわけッ……?
ッ……頼むから起きてよッ……」
切「嘘だろッ……?!
なぁアンタら医者なんだろ?早く助けてやってくれよッ……!」
不「このんちゃんッ……!早く起きて!!
見せたい写真まだ見せてないだろッ……!
キミの欲しいって言ってた写真も、あげてないじゃないか!!」
滝「なんでもうこんなに冷たいんだッ………!?
日吉倒したらたくさん生ハム食べるって言ってただろう?
だから、早く起きてくれッ……!!」 

皆の呼び掛けに、もうこのんは反応しない。
もう、このんは肉体(ここ)にいなかった。
医者が脈と呼吸を確認し、首を横に振る。
そして…………ここにいる者たち全てにとって最悪で、残酷な言葉を放つ。

医「……○時○分……御臨終です」

少女は、死んだ。

それでもその死に顔は穏やかで、幸せそうな夢をみているかのような笑顔を浮かべていた。

切原や滝たちはその反対に悲しみしかなかった。
切原は泣き叫び、滝や不二はわずかに嗚咽を漏らしながら泣き、日吉以外のものは目を伏せ静かに涙を溢した。

日吉は、もう冷たくなった幼馴染みをゆっくり抱き締めた。
ベッドに手が触れた時にうっすらと感じたこのんの体温は、少女が先程までここにいた証だった。

榊「……日吉」
日「…………、わかっています。
もう、このんは死んでるって……
……それでも、納得したくないんですよ……」

まだ言いたいことは山ほどあった。
してやりたいことだって、山ほどあった。

死に立ち会うために来たのに、永遠の眠りについたことを認めたくなかった。
認めてしまえば、自分が正気を保っていれるかわからない……

ただ静かに、日吉はこのんの頭を撫でた。
窓の外でちらつく雪が、月光で淡く光って見えた。









この事件は、テニス部員はもちろん、氷帝の親衛隊隊員たちにも傷跡を遺した。
このんの葬儀にはかなりの人が参列し、悔やみ泣いた。
殺人犯である桃百合姫華の行方は事件から数ヶ月後、惨殺死体になって見つかった。
警察も何とも言えないほどの損傷だったらしい。
何者かの犯行かはいくら捜索しても見つからなかった。

新聞の一面やニュースで報道されたがやがて、それらの記憶は薄れていく。

深く刻まれた者たちは、薄れることはないけれど。






少年は夢を見た。
悲しく切ない過去の夢を……

その夢は頻繁に見ていたが、その時の夢は少し違った。

幼い少女が死に逝く時、たしかにこう言ったのだ。


「ごめんね…………しばりつけて」


笑っていなかった。
穏やかな微笑みを浮かべて死んだ少女は、今回の夢では酷く辛そうに涙を流して死んだ。

朝方の寒い時間帯に、彼は夢から覚めた。


[Hiyoshi side]

このんが死んで丁度10年経った。
今日の夢は、ハッキリと覚えている。

苦しそうに、悲しそうに、辛そうに泣いて息絶えるアイツ。
「ごめんね……しばりつけて」という言葉も、あのときと違った。
何故……アイツはそう言ったのか……
いくら考えてもわからなかった。

このんの好きな花と好きな菓子を墓に供える。

10年経っても、この墓だけはいつまでも綺麗で、絶えず花がある。
供えられた花はもちろん、周りに季節ごとの花が植えられているからだ。
周りの墓に迷惑をかけないために見晴らしのたいい丘にこのんは眠っている。

そんなことをするのは……あの人達だろう。


幸「ーーやっぱり来てたね」

振り向けば、大人らしい顔つきになった幸村さんがいた。
後ろには越前や跡部さん、樺地も供物を持っている。

跡「久しぶりだな、日吉」
日「お変わりは無さそうですね
……樺地も越前も久しぶりだな」
樺「ウス……」
越「久しぶり。
……1年ぶりだね、暁来」

墓に刻まれたこのんの字を優しい手つきで撫でる越前。

あれから、俺は高等部で跡部さんへの下剋上を果たした。
中学の残り時間は試合に出ることはなく、跡部さんたち3年生や他校の幸村さんたちにも頼み込んで試合をしてもらい、自分を鍛え直す日々だった。

跡部への下剋上が、アイツに対するせめてもの償いだったから……

幸「……このんちゃん、久しぶり。
後で赤也たちも来るってさ
それと……、はい。
福寿草
今年は珍しく早く咲いたんだ。
どうしても、見せたくてさ……」

目線を合わせるように、幸村さんはしゃがんで花を供える。
黄色く小さいその花は、どこかこのんに似ていた。
だから、好きなのだろう

幸村さんが下がれば跡部さんが蒼い薔薇の花束を樺地から取り、置く。
跡部さんらしいプレゼントだ。

跡「青薔薇が見たいって昔言ってただろう
これは俺様からの選別だ。
……そっちの花畑もさらに色付いたんじゃねーか?」

毎年この人は変わった色合いの薔薇を持って来る。
それは、このんが寂しくないようにという計らいだ。
薔薇なのは……跡部さんだからだ

幸「……『奇跡』……か
珍しいな、その花言葉の花を供えるなんて」
越「?跡部さん毎年薔薇持って来てたけどそのたびに花言葉なんて考えて持って来てたんだ……」
跡「あーん?当たり前だ
去年はスイートアウァランチェ……」
幸「あのときは『感謝』、だったね
このんちゃんが遺した企業の記録が跡部の会社に大きなヒントを与えたんだっけ」

あのピンクの薔薇はそういう意味か……

……確か、世界のウェディング関係の資料だったはずだ。
ウェディングドレスの新作、ウェディングケーキの新しい構造、世界の結婚に関するジンクスやキーアイテムなど無駄に調べていた記憶がある。

幼い頃に見た結婚式が忘れられず、将来そういう綺麗なことの手伝いをしたいなんて言っていた。

それが奇跡的なのか、はたまた必然だったのか跡部さんのもつ会社に大きく貢献した。
まぁ、今じゃ婚姻届にサインして結納の多い社会だ。

結婚式に抵抗を持たずに、金銭的にも負担のないプラン・チャペル・ドレスやタキシード(和装)で結婚、というこのんの資料は社会的な宝になった。

日「……、……このんは、もしかしなくても自分が結婚式をしたかったんでしょうね」

跡部さんたちが振り向いた。
越前が一瞬目を丸くする。

日「そういうの調べながら、一回呟いてたの思い出したんです。
『いいな』って
自分のしたいことだから調べまくってたんでしょうね、コイツは
社会貢献するなんて考えてないですよ」
越「……意外と女の子らしい夢あったんだ……」
幸「フフ、このんちゃんらしいや
女の子だからウェディングは夢見るよ、きっと」

ーーだから、持ってきてもらったんだよ

幸村さんが意味深に笑った時だった。

目前に何かが入った大きめの箱が現れた。
それは、白の生地にフリルをあしらい、大きめの青薔薇と小さめな黄色い福寿草の飾りのついた『ウェディングドレス』だった。

仁「ーーナイスタイミングぜよ、柳生」
柳生「……暁来さんがお望みのことですから……」

立海の元レギュラー陣だった。
すぐには把握できなかったが、やがて理解した。

日「……、皆さん知ってたんですか」
越「俺は初耳だけどね」

幸村さんは笑った。
慈悲深げな、優しい表情で。

幸「このんちゃんの、最後の願いだよ。
結婚をするだろう歳にウェディングドレスを作って欲しいって
デザインはこのんちゃんが描いて、 サイズはこの歳に身長がどうなるか蓮二が計算して作ったオリジナル。
金銭的なのは跡部の会社に貢献したこのんちゃんの業績でね。」

柳生さんから渡された箱に入ったドレスに触れた。
このんらしい、綺麗でどこか愛らしく幼いドレス……
今生きていれば、これを来て式を挙げただろう。

ふと、中にカードを見つけた。


、……!






ーー嗚呼、そうか……


跡部さんがニヤリと笑う。

跡「今いうべきことがあるだろう
日吉」

意地の悪い人だ、全く……


日「……、今気づいたんですよ
たった今…………」


















日「好きだった、さよならだ…………このん

一生言うつもりはなかった、このんの死を認めるコトバ
それは、今言うべきだった。






















『だいすき…………わかしくん
さよなら』

背中が温かい……
このんが抱きついてきた気がした。

全て認めた瞬間、目元が、喉が、胸が熱い。
俺はその場に膝をついて泣いた。
吐き出すように、声を上げて……

俺とこのんは、死に別れて尚お互いをしばりつけていた。
死を認めない俺と、俺を守り続けていたこのん…………

今日が、本当の別れだ

日「『さよなら』」



繋いでいた手は、離された…………

悲しみは深い。
死に幸せなんてない。
だから、こんなに涙が溢れる。

それでも、バッドエンドでないことは確かだった……。

号泣して切原たちに笑われたのは腹立たしいが、未練は消えた。
アイツの未練も……きっと


俺たちが去って行く後ろで『奇跡』と『祝福』の花が、寄り添っていた。















(だいすきだったよ…………ありがとう)
(もうさよなら。だけどね、青薔薇《日吉》と福寿草《このん》は幸せなんだよ)





























シ「守護霊になることは可能だったが………」

真っ白な空間で、黒いシニガミは手のひらの緋色の光に話しかけた。
緋色の光はふよふよとシニガミの手の上で揺れる。

シ「…………なる気はないみたいだな
……安心するといい。
あの人間の守護はしよう。
それが、我からの幼き娘への償い」

緋色の光は満足そうに光る。


『……ありがとうシニガミさん』

このんは、笑って消えた。

やがて、新しく生まれるために…………



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