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きょーみないの

監督のおかげでその場はおさまり、ようやく昼食を食べ始めた部員たち。
姫華はその間竜崎先生に違う部屋へと移動させられた為部員たちのピリピリした空気は消えた。

抱きつかれた幸村にいたってはこのんに生ハムサラダを食べさせてやっとご機嫌になった。

幸「ふふ、美味しそうにたべるね」
「(もきゅもきゅ、ゴクン)おいしー、です。」

餌付けされているのだか本人は大好きな生ハムサラダを食べさせてもらっているので特には気にしていない様子だ。
立海の面々は魔王が降臨していた幸村を元に戻してくれたこのんに感謝していた。

丸「暁来がいなかったらマジでヤバかったぜぃ…」
仁「あの女、どんだけ幸せな頭しとるんじゃろ…
あんなに言われてもニタニタ気色悪いぜよ」
柳「精市たちが照れているだけと思っている確率…100%だな」

幸村を横目に話し合う三人。
柳生ですら顔が引きつっていた。

榊「…皆、食べ終わったか?」

このんがもきゅもきゅ生ハムサラダを食べていたとき、榊監督が口を開いた。皆が皆彼に顔を向ける。

榊監督は言いづらそうに眉をひそめたが続けた。

榊「あの少女は…私の姪に間違いないようだ
事故で亡くなった私の兄の娘らしく、しばらくの間は孤児院にいたと聞いた。調べ上げたが本当だった…」

榊監督の僅かに含みのある言葉に気付いて、跡部が尋ねる。

跡「監督にしては凄く曖昧な発言ですね…
もしや、最近知ったのではないですか?」

ようやく食べ終えたこのんも跡部と榊監督に顔を向けた。
榊はしっかりと頷いた。

榊「我が榊グループでは毎年親族内でパーティーを行っている。
が、彼女は一度たりと現れていない。孤児院にいたといえど、パーティーに姿を今まで現さなかったことには少し疑問があってな…」
「…榊せんせーも、びっくりした…です?」
榊「あぁ…昨日電話で知ったからな…」

このんに柔らかな苦笑を向けた。

榊「仕方ないが、彼女はこの合宿に参加することになった。


皆がピキリと固まった。
が、切原が直ぐに反論を示す。

切「嫌ッスよ!
こっちは先輩やこのメンバーで合宿出来るの最後なのにッ!」
宍「監督には悪いッスけど…
俺も切原と同じ気持ちです」
越「あんな手で出来んの?サポート暁来だけでも十分ッスよ」

堰を切ったように批判が飛ぶ。
それでも、榊監督は首を横に振った。

榊「すまない…
だが、彼女は私の兄の愛娘だ。
姫華も仕事をしっかりやると言っている。
働きを見てからもう一度決めて貰いたい」

その言葉に落ち着いたが、まだ渋る者がいた。
ふと、柳がこのんに声をかけた。

柳「暁来、お前はどう思っている?」

皆の視線が向くと、やはり隠れたが何故か幸村のジャージの中に隠れた。

幸「あ、隠れちゃった」
謙「……なんで隠れるねん!あとなんでそんなに嬉しそうなん幸村」

隠れたこのんや、出ておいでー、と何故かどこか嬉しそうな幸村に思わず突っ込む謙也。
ゆっくりひょこっと顔を出せば小さく小首を傾げていた。

「……桃百合さん…?って人が、仕事ちゃんとするなら…わたしは気にしないのです……あ、
もぐっ」

また幸村に生ハムのサンドイッチを差し出されもきゅもきゅ食べ始めた。
日吉にアイアンクローされているが…

日「お前は真面目に話し聞け」
「きょーみないのー、
ひよしくんいーたーいー
(もきゅもきゅ)」
仁「ククッ…、興味ないとは言うのぅ…ちびっ子」
柳生「日吉君、女性に暴力はいけませんよ」

仁王はこのんの答えに笑い、柳生は日吉の行動を注意する。
このんが特に気にせず丸井に与えられた生ハムを食べていた為苦笑したが…

跡「監督の姪に暁来が特には興味ないなら大丈夫だろ。
マネージャー業ができるなら構わねえしな。」

話を戻し、跡部がいいな?と辺りを見渡す。
納得行かない者も多いがとりあえず「自分たちはテニスができるなら気にしないでおこう」と思うことにした。

桃百合が帰ってきて再び雰囲気が悪くなるまであと30秒……

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