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生ハム以外に…

寝坊した3人がげっそりした表情で食事が終われば皆練習の準備に部屋へ戻った。

切「おちび…まともな起こし方しろよ。」
「…同室の人が起こさないの…簡単に起きないからって考えた…です」

赤也はヒクリと眉を動かした。
図星な為反論はできないし、真田に起こされるよりはマシだと思っていた。

このんは部屋に入ればネコ耳パーカーを着、昨日より荷物を多めにひよこリュックに詰めた。

ヨイショっと背負えば竜崎先生より先に部屋から出てトテトテと小屋に向かった。
今日は昨日より練習がキツくなる為ドリンクの量やタオルの量がかなりいる。
部員たちがコートに集まる前にやることは山ほどある。

外に出れば雪がチラついていた。
気温を小屋で確認すれば氷点下になっている。

「…お湯わかそー…
ドリンク冷蔵庫入れなくても良さそう、かな…」

小屋の中でごそごそと準備をしていたら、小屋の戸が開いた。

向「さっびぃー!!
雪降るなんて天気予報でなかっただろ?!」
芥「あ!このんちゃん、早いCー!!」
遠「雪早よ積もらんかなぁ!」
3人以外に他に謙也、丸井、仁王と賑やかなメンバーが入ってきた。
このんはきょとんとした目で彼らをみていたが沸かしたお湯とリュックから取り出したものでホットレモンを作り、紙コップに注いで差し出した。

「…今日はさむいのです…
あったかいの、どーぞ…です」

まさか用意してくれるとは思っていなかったのか驚いていたが丸井が素早く紙コップを取った。

丸「サンキュー!
ん…うんめッ!」

それに続いて仁王たちも受け取った。

仁「ほーぅ…なかなか美味いナリ」
芥「おいCーッ!」
謙「ほんまにウマいわ…
よぉ準備できたなぁ!」

爽やかな笑みで謙也が言えば持っていた袋の中身をみせた。

中には黄色の粉末状のものが入っていた。

「ひよしくんママが、さぶかったら飲みなさいって…くれた、です。
簡単にできて、おいしーの…」

役にたった、です…と満足げなこのん。
他にもお湯がある限り部員や顧問たちに配った。

皆に好評で、日吉に渡した時に感づかれたのか頭を叩かれた←

日「母さんが持たせたな…」
「ぼーりょくはんたぁい」

言葉の割にはどうということではない様子。

白「日吉君、女の子叩いたらあかんやろ」

苦笑した白石か空になった紙コップを渡しに来た。ついでに注意をしていた。
が、

日「コイツは石頭なのでちょっとやそっとじゃ痛がりませんよ。
叩いてる俺の手の方が痛いです。」
一「なら止めや」

ごもっとも

日「一応効くのは効くみたいなので
それに、一度頬を抓ったら噛まれました」
「かみました(ニヘ」
財「…お前も苦労しとるやな…」

思わず同情の目を向けた財前だった。

そうこうしているうちに練習が始まった。
今日はランニングの後筋トレをし、素振りをし、各校でラリーをしてから午後に練習試合をするそうだ。
ランニングは昨日のように各自好きなペース、というワケではないらしく、乾がやたらとにやけていた。

乾の様子に気づいて青学メンバー一同が青ざめたのをこのんは不思議そうに見た。

「えちぜんくん、どーしたの?」

たいちょーふりょー?
と尋ねれば引きつった表情のまま頷かれた。

越「…そーいうことにしといて…」
乾「暁来さん、テーブルと空のボトルをランニングのコースの横に置いておいてくれないか?」

乾が手に袋を持って現れた。
それと同時に越前が逃げ出した。
きょとんと越前の背中を見ていたが、乾の頼みに頷いた。

「空…でいいの…です?」

普通ドリンクがいるのではと思ったが、乾はあぁと頷く。

乾「俺特製のドリンクがあるから大丈夫だ。
そうだ、暁来さんも一杯どう…」

袋から赤い液体の入ったペットボトルを出そうとした乾の顔面に豪速球が当たった。

幸「あ、てへ
乾、…ゴメン★」

明らかに笑顔な幸村がラケットを持って謝った。
幸村が放ったボールだったらしい。

「ゆきむらぶちょーさん、人にあてたらだめ…です」

球を拾って幸村に投げて渡した。
幸村は柔らかい笑みのままこのんの頭を撫でる。

幸「ふふ、ごめん。
暁来さんはいい子だね」
桑「乾ー、大丈夫か?」

ジャッカルは乾に声をかけた。

乾「、あぁ大丈夫だ。一瞬意識が飛びかけたが」

立ち上がった乾にこのんは大丈夫かなーと見ていた。
それから地面に落ちた乾の持っていた袋を拾った。

「…まっかと、まっさおと、緑のがある…」

興味津々といった様子のこのんにギョッとして海堂が止めに入る。

海「お、おい…
それ乾先輩に返しておけ…」

さすがに乾汁をこんな小さな少女に飲ますわけにはいかないと青学のほとんどの者は頷く。
が、不二は笑顔を浮かべた。

不「暁来さんも飲んでみるといいよ
僕は赤いのをオススメするよ」
菊「ふ、不二!?
暁来さんダメだかんね?!それ飲んだら危険だから!!」

菊丸が必死になって止める。
このんは不二の言った赤い液体の入ったペットボトルをジーッと見つめる。

それから乾を見上げた。
「ひとくち、飲んでいい…です?」

興味の方が勝ったのか尋ねた。
乾の表情が笑顔になる。

乾「勿論だ。飲んでみるといい」

乾はペットボトルの入った袋を返してもらい、赤い液体を紙コップに半分注いだ。

大「暁来さん、悪いことは言わないから飲まない方がいいよ」
越「マネージャーが倒れたりしたら、大変だしね」

大石も必死になって止めようと試みていた。
珍しく越前が心配そうに言う。

日「あぁなったら止めに入っても無駄だぜ、チビ助。」

呆れた顔の日吉が割って入ってきた。

日「興味があるものは試す癖があるからな…
力ずくじゃないと諦めないぞ、アイツ」
越「…苦労してんだね」

財前と同じく越前も同情した。

このんは赤い液体の入った紙コップを受け取ればじっと見ていたが、一気に飲んだ。

ワクワクといった様子の乾に対し、桃城と海堂がげ…と青ざめる。

が…

「…ニンニクくしゃい…」

いたって真顔でむぅと唸るだけだった。

それにはその場にいたほとんどがえ…と凝視していた。

日吉だけは何か思い出したのか、あぁ…と呟いた。

忍「なんかあるん?」
日「暁来は辛いもの好きなんですよ。
うどんとラーメンに必ず一味唐辛子を入れますし。」

実は辛いもの好きだったミニマム少女。

ニンニクの匂いが気になるのか宍戸からミントガムを貰うまであと10秒…

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