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東奔西走
7


「トーア少し急ぐぞ。電車に間に合わない」

「おうっ!」


こんな田舎だから電車は一時間どころか、二時間に一本しか無い。
結構不便。

でも近所のおばちゃん達からすれば、この町に電車が来るのさえ奇跡よ〜有難いわ〜昔じゃ考えられないわ〜、らしい。




「寮ってどんな感じかなぁ〜?ワクワクするなっ!!」

「そうか?男しかいないんだぞ?なんか…むさ苦しそう…」


期待で胸を踊らせる俺とは逆に、ソウちゃんは苦笑いして余り楽しみじゃなさそう。




俺とソウちゃんが通っている所は、幼等部から高等部まであるエスカレーター式の男子校。


でも俺とソウちゃんが小学生の頃通っていたのは、町の小さな小学校で中学も電車で隣の町の中学に通う予定だった。


でもじいちゃんと遥が、俺は中学からはその男子校に通えと勧めてきたので、俺は中等部編入生として中学からその男子校に。

その時、俺の事が心配だとソウちゃんも一緒に編入。


その中等部は電車で片道一時間半の田舎にあって毎日通っていたが、高等部はさらに田舎にあるらしく、全寮制。

今日は高等部の始業式兼入寮日なのだ。



「先輩達元気かな?」

「元気かなって…冬休み一緒にスキーしに遊びに行ったじゃん」

「そーだけどそうじゃなくて。一緒の校舎で過ごせるの久しぶりじゃん!」


先輩達とは、お互いが中等部だった頃仲良くしていた生徒会の人達。

先輩達が高等部に上がってからなかなか会えなかったから、またこれから毎日会えるのが嬉しい。



「トーア、お前高等部行ってから気を付けろよ?」


丁度良く駅に着いた電車に乗り込み、俺の隣に座ったクロアが言う。


「え?気を付けるって?」

「あれ?クロア?!」


俺の声を掻き消す位大きな声でソウちゃんが驚いた様にクロアを指差す。


「ソウちゃん?」

「指を差すな餓鬼」

「餓鬼って……。は?え?トーア、何クロア連れて来てんだよー?小学校行くんじゃないんだぞ?寮に入るんだから…」

「ああ、遥に許可貰ったんだ。クロアも一緒でいいって。ってゆーかクロア居た事今頃気付いたのか?」

「いや最初からクロア居るの気付いてたよ。お前達一緒なのって当たり前だから違和感無くて…」


なんだ…そっか、とソウちゃんはクロアとは逆隣に腰掛けた。


「…んで?クロア。俺に何を気を付けろって?」



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あきゅろす。
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