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短編云々


コイツに生き返されたのは数年前、会ったのはずっと前だったけどな。









生き返されたとき、最初に見たのは不気味に美しい満月だった。
造りの良い、旧家の一室で俺は寝かされていた。その時は記憶があやふやで、自分自身の事はもちろん、自分がいつ、どのように死んだのかは思い出せなかった。

そして、満月の次に見たのはアイツだった。
桜色の髪と瑠璃色の瞳が満月の光を浴びてぼんやりと光っていた。着ていた着物も金糸や銀糸が輝いていて、アイツのまばたきを確認するまで人形かと思った。

「気分は悪い?」

開口一番にそう言われた。今でも言われるこの一言は、忘れる事は出来ないだろう。

「………。」

「まぁ、いいわ。私はサクラ。貴方、自分の名前はまだわからないわよね?」

瑠璃色の瞳は全てを見透かしているようで、支配的な恐怖があった。実際にあの時点でサクラに支配されていたのだから当たり前だったのだが。

「貴方、死んでるの。私が、私の都合で半分だけ生き返らせたの。鏡みる?」

半身だけ起こして手鏡を受け取った。身体がダルくて、うまく動けやしない。
手渡された質の良い鏡で自分の顔を見て絶句した。
生前の顔はどんなものだっただろうか。顔のほとんどは焼け焦げ、頬の一部は削げ落ち歯茎が剥き出しになっていた。鼻も…焼け落ちたのだろうか、顔の中心には髑髏のように穴が開いているだけだった。身体を確認すると、右半身は顔と同じく焼け焦げている。それから、サクラが直したのだろうか…。身体のあちこちが縫いつなげられていた。

「酷い有り様?でもね、私の呪いでもコレが精一杯なの。仕上げるにはあと一つ…。」


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あきゅろす。
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