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短編云々


彼女は傷はもう癒えたからと、布にくるまり、また眠った。

こんな所に居てはいられないと、僕は心を決めた!









「スス、起きて。」

「…ん〜?…なに?」

「ここから逃げよう!今すぐに!」

「…え?でも、どうやって?」

「もう、準備は整ってるから!」

彼女に言うと、僕は壁の穴に向かって話した。

「チュー、チ、キキッ、チュ!」

一匹のネズミが顔を出す。そして、二匹目のネズミも顔を出した。二匹目のネズミにはこの牢獄の鍵が握られていた。

「チチッ!ありがとう〜!」

また彼女に向き合う。

「ネズミの穴があったから、鍵を取ってきて貰ったんだ!それから、この建物の脱出経路も教えて貰ったよ!
あと、建物の周囲や外観なんかはそこにいるコウモリに聞いた。多分、大丈夫!きっと逃げられるよ!」

「…アンタ、すごい。声マネだけじゃなくて、動物と話せるんだ…。」

牢の鍵を開ける僕の後ろで彼女が声を漏らした。彼女が感心なんてするもんだから、ちょっと恥ずかしくなった。

「そ、そう?僕らにとっては当たり前だよぉ〜う。さ、早く逃げよう!」

看守がいないことを確認して、僕らは暗い廊下を走り抜けた。
建物の構造はいたって簡単な造りで、牢獄があったのは三階という中途半端な場所。階段に差し掛かった所で、人の声が聞こえた。

「スス、止まって!誰か来る!まだ、ここまで来るのに時間が掛かるけど…、あっ!この部屋に隠れよう!」

部屋の中からは生き物の音は聞こえない。それを確認すると、二人で部屋の中に隠れた。
その部屋は衣類関係の物置のようで、古今東西、装飾品から武具まであらゆる衣装が所狭しと置いてあった。



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