[通常モード] [URL送信]

短編云々


「これは、透明標本。薬品で筋肉を透明化させて、骨と軟骨を染色した骨格標本。綺麗でしょ?」

「……うわぁ…キレイ…。」

掴みはOK!こんな所で逃がしはしないよ。

「これは市販のものだけど、こういうのを自分で作ってるんだ。それが今の研究課題。完成したら文化祭や年末の発表会で発表する。それが生化学部の活動。」

「ふぅん…何だか難しいですね。」

「いや、これは僕がやりたいからやってるだけで、他の人はもっと簡単に飼育観察とか、植物育てたりとかしてるよ。」

僕は君の事を観察したい。

「そうなんですか…。私でも出来る、かな?」

そういえば、名前をまだ聞いていないな。

「うん。全然大丈夫だよ。僕も手伝うし、何でもやってみなくちゃね。そうだ、僕は二年の日根昇。君は?」

「私、一年の桂時満です。転校してきたばかりで、だから部活の見学にきたんです。」

都合がいいなぁ。僕の暇つぶしに付き合ってよ。君のこと、もっと知りたい。

「そっか。じゃあ、ここに入ってくれるの?」

入ってよ。逃がしたくないよ。そばに君を置いておきたいんだ。

「…はい。私、運動とか苦手で…。でも、ここなら自分のペースでやっていけそうな気がします。でも…いえ、もう少し考えたら入部を決めますね。」

欲しいなぁ。どうやって僕のものにしようかなぁ。楽しいなぁ…。

「わかった。じゃあ、期待して待ってるよ。」

マスクの下で、顔がにやけるのが止まらない。日常が楽しみになった。



[*前][次#]

5/9ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!