┗紅と白と 7 「ぐっ…、身体が痛い…。」 朝になってようやくシロは満足したのか、私を抱き締めて眠ったのでした。 それから私が起き出したのは昼過ぎ。まったくもって、シロさんの体力には驚かされますね。…底なしか…? 身体が痛くてベッドから抜け出すのもひと苦労。シロさん、腕が首に乗ってて重い上に苦しいっす…。 「喜ばせたい、なんて言ってたけど…結局どっちが喜んでたのかわかんないね。」 規則正しく寝息を立てる口だけの顔に向かって話し掛けると、寝ぼけたようにクルルっと喉を鳴らしたシロ。 夜はたまに激しいけれど、こういう仕草は癒やされますな〜。 後日、大学の食堂で昼食中に友達がいきなり話し始めた。 「この間さ、飲みの席で彼氏と相性悪いって言ってたじゃん?」 「へ?あ、うん?」 「やっぱりさぁ、愛があれば問題ないなぁ〜って思ったのよね。」 「あぁ、そうなの?」 「多少なりとも障害があってもさ、相手の事を思いやっていれば、我慢や妥協じゃなくて…許せるんだよね。」 「はぁ…そうですかぃ。」 友人は目をキラキラさせながら自分の恋愛を語っておりました。その顔はまるで夢見る乙女。 「紅子って最近、あの顔しないね。」 「え?」 「逆にのほ〜んと幸せそうな顔してる。」 萌ちゃんにはよく見られているのか…。脱皮してから変わったのはシロだけじゃなくて私もなのかもしれない…。 我慢や妥協じゃなくて、許せるなんて良いことを聞いたかもしれない。 だって、私の好きな人は人間でもなければ、他人に見せびらかす事も、外に遊びに出掛ける事も出来ない。それでも幸せなのは…そういうことが必要ないくらいに好きだからってことでいいのかな? .end *前へ [戻る] |