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 ┗紅と白と


「さ、これで安心です。朝になればいつも通りの白ですよ?」

ですよ?って…こっちはこんなに不安なのに。

「…そんなに、簡単に言われても不安です…」

ため息をつきながら長身の男は話す。


「…大丈夫ですって。私は何体もコクーンを見てきましたが異常事態が起きたことは一度もありません。あれは、そういう生き物なんです。安全性だって立証されていますし、本来なら鎖で縛らなくても時間が経てば元に戻ります。しかしながら、貴女のように危険を感じることもある。だから、私が来たんですから。まぁ、本当は黒くなり始めたらすぐに縛るのが正解なんですけどね…。
コクーンの脱皮が早まったということは、私の予想以上に貴女の白に対する愛情が深いということでしょう。今夜は様子を確認する為にもここにいますから。とりあえず、鼻水も拭った方が良いですよ。」

表情一つ変えずにティッシュを手渡した長身の男。話し方に少し怒りを感じるのですが…これは、心配してくれたと考えても大丈夫かな?

「…ありがとうございます……ズルル!」



その後、私はいつの間にか寝てしまったらしく、朝になると長身の男は部屋から姿を消していた。
慌ててお風呂を覗くと、そこにはいつも通りの真っ白な白がいた。

「う〜…べにこぉ〜。」

「う…、今からほどいてあげるから!」

お風呂場に転がるシロは困り顔で私の名前を呼んでくれた。

…しっかし、脱皮の名残というのか…お風呂場が黒いタールみたいなもので真っ黒だった…。


「べにこぉ!すき!」

鎖を解いた瞬間に抱きつくシロ。包まれるムスクの香り。
私、やっぱりシロが好き。シロがシロじゃなくなったり居なくなったりしたらもう、駄目だ…。




シロからの愛もシロへの愛も確認出来た出来事だった。
だけど、お風呂場のタール状の謎の物質をキレイに掃除するのに二時間半掛かったので、脱皮はもう懲り懲り。そう思いました!



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