はちみつショコラ 1 なんだかんだで制服だって可愛いし、クラスメートに苦手なタイプがいるわけでもなし。 並高での生活は、理想そのものというわけではないけど、それなりにあたしの高校生へのあこがれとやらを満たしてくれている。 「おはよう獄寺」 「はよ」 机の上に突っ伏したままあたしの顔も見ずに挨拶を返してくるこの銀髪然り。 「また寝てないの?」 「うるせ」 あーほんとに眠いんだな、いつもだったらもっとつっかかってくるかもしれない。 たまたま同じクラスの隣の席で、特別なにをしたわけでもないけれど話すようになって、中途半端に仲良くなって、あたしの心臓はその優しさに勝手に音を立てるようになった。 獄寺はかっこいい、というのは惚れた弱みでもなんでもなくてただの一般論だ。 中学のときはもっとキツかったと並中に通ってた子たちは言うけれど、高校生になって少し大人になったんだろうか、彼は口は悪くとも暴言を吐いて誰かを傷つけたりはしない。 獄寺を無意識に見てしまっているせいか、その隣にいる二人のことは完璧に覚えてしまった。 沢田綱吉くんと、山本武くん。 同じクラスといってもまだ入学して2ヶ月経つか経たないか、男子とそれほど仲良く話す方でもないから彼らとはまだ一言も言葉を交わしていない。 沢田くんは見るからに温厚で優しげでいい人オーラがぷんぷんしてる。 山本くんは、爽やかを絵に書いたようなモテ男くんで、あーなんだろうあの天然は腹黒な気もしないでもない。 [戻る] |