TF長編小説
夜更かし〜メガトロン視点〜
放って置くと朝まで延々と小言を言いかねなかったスタースクリームをぶっ飛ばし(人はそれをやつあたりと言ふ)、寝具として用意してあった毛布を肩にかけ、寝静まったダムの中を手持ちぶさたに歩き回る。
別に人間の施設など興味は無かったが、眠れないうえに暇すぎるので致し方ない。
しばらく歩いていると(歩幅の違いにかなりイラッときたが)、どこか見覚えのある風景が目に入った。
最後の数十年を過ごした場所――その間の事を全く覚えていないが。
今のサイズでは少々広すぎるそこに立ち、己が拘束されていた場所をまじまじと見上げる。
―――気が付いた時はいつも、寒く暗く狭い場所だった。
再び目を閉じれば、また幾千年、幾万年と経っているのではないか。
そんな想いがせり上がってきて…
らしくない。こんな些細な事で鬱状態に陥るとは――
苦笑し、頭をかいていると、いつの間にかオプティマスが横に立っていた。
「眠れないのか?」
「貴様らと違って冬眠から醒めたばかりだからな」
眠れないもう一つの理由はあまりに馬鹿馬鹿しく、子供じみていて、話す気にもなれなかった。
ホールを吹き抜ける風がうそら寒く、一つ身震いする。
「ここは冷える。もう少し暖かいところに…」
「狭苦しいから否だ」
そっとため息を吐くこの唐辺木は、それこそが最大の理由だと気付いただろうか。
身を切る寒さも、静かすぎる暗さも、迫り来る狭さも、あの白亜の世界を思い出して嫌なのだと――
…ムリか。昔からヘタレだったしなコイツ。
「誰一人欠ける事なく戰が終結した事を、私は満足している」
また何を言い出すかと思えば。
「その誰≠フ中には、メガトロン、君やディセプティコンたちも入っている」
あいつらと同列かよ。
「どうしても君に会いたくて、何万年も君を探していたって言ったら?」
…………………………いきなり何を言い出すんだこの馬鹿は。思わずフリーズしてしまったではないか。
だけど、その言葉がほんの少しだけ嬉しかった事は言わないでおこう。
絶対に図に乗るから。
―――お前は覚えているだろうか?
最後に友人として母星で会い、交したあの約束を。
俺にとってはついこの前でも、お前にとっては随分前の事になる筈だから。
いつか約束を果たそう。
例えそれが俺の自己満足にすぎなくても―――――
end
アトガキ
小説(短編)の女王様バージョン。
なんか…うん、文才の問題だな;
ちなみに、この2人の様子を部下たち全員覗いています(笑)
後でオプに殴られるけど;
〜終焉と創始〜編はここで終わりです(とりあえず)。
サブタイトルは未定ですが、次からは1名だけダムから離れます。
鋼鉄のペットを迎えに行く為に(←答え言ってるようなもの)
[*前へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!