雨空 異物=危険物 土方に着いて真選組屯所まで来ると、尋問室?とかなんとかに入った。 道中新鮮グミではなく真選組だと訂正というか突っ込みされた。 どちらでもいいのに。 『で、何の用なのですか。原田とかいう人にごめんなさいすればいいのですか?』 聞くと、真剣な声が返ってくる。 「…血濡れの灰猫さんよ、」 さっきまでは小生を斬凪と呼んでいたのに血濡れの灰猫、と呼ぶ。 これは、小生に依頼したがるときのお決まり。 睨み付けるような、食い入るような、何とも言えない視線で小生には気に入らなかった。 どこかに蔑みも含まれているそれには、もう慣れた。 「…地球から、出ていってくれねえか」 『ふぇ?』 予想外の言葉。 『何でですか?』 「お前は、星海坊主なんかとは違って無差別に殺しまわってるんだろ?だから色んなやばい組織もお前を雇いたがる。 お前が地球に来たってのはもう広まってる。 お前がこの江戸にいるってのもな。 この数日間だけで色んな組織が動き出してやがる。 だから、面倒が起きる前に地球から立ち去って欲しい」 『良いじゃないですか。真選組の仕事増えて給料アップですよ』 「残念ながら上がらねえよ。 …そりゃあうちだって出来るならしょっぴきてえよ。 だが今回は手が出せねえ。」 手が出せない? まさか、 『……春雨、?』 神妙に頷く土方を見て、小生の顔には笑みが浮かんだ。 彼の同族の兎を思い出して。 * [*前へ][次へ#] [戻る] |