哀しき白 そして少女は消えた 「第2エクソシスト、シス=カルマ。 ボンゴレファミリー10代目の闇の守護者兼AKUMA対象の護衛として、あちらの世界に送ります。」 暗く広い、荘厳な部屋には、三人の人間がいた。 うち二人は顔も布に隠されており、話す声もどこか淡々として、人間味がない。 黒装束の二人より、だいぶ小さな白髪の少女が二人の前に立っている。 少女は何も言わず、ただ二人の前に立っている。 本来右腕があるべきところは、黒い団服の袖があるのみ。 左手の親指に光るのは、不自然な三日月形の黒い光沢のある石が埋め込まれた指輪。 少女は、ちらりと指輪に目を向けた。 それ以外、少女の動きはなかった。 「では、この上に乗りなさい。」 不思議な模様が施された床に、少女が乗った。 と、模様が光り始めた。 少女の姿が透明感を帯び、薄れてきた。 黒装束の二人が「健闘を。」と言ったのと同時に、部屋の扉が開いた。 「シス。」 入ってきたのは少女と<同じ>男。 少女の名を呼ぶと、ゆっくりと少女に近づく。 「な…っ貴様!ここに足を踏み入れることは禁じられているのだぞ!」 黒装束の怒鳴る声を無視し、男は少女をそっと抱きしめた。 「無理、すんじゃねえぞ。」 少女は淡い碧眼で静かに男の瞳を見ると、微かに微笑んだ。 かと思うと、部屋いっぱいに光があふれ、少女の姿は消えていた。 「シス…」 男は静かに呟いた。 * 次# [戻る] |