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◆Short Novels

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「あぁぁ、はっ……ふぁっ」

背後からだと顔を見えないからと、尋人によって体位を対面座位の形に変えられて。
奏斗は首に手を回して下からの突き上げに背中をしならせていた。


「可愛い、奏斗」
「っ、言う、なっ」
「なんで?凄く可愛いのに」


事実がどうかは問題ではなく、可愛いという言葉を使われることが問題なのだ。
けれど、今は可愛いという形容詞よりも、名前を呼ばれる事の方が恥ずかしい。

今こうして尋人の上で乱れているのが演技の練習の一環ではなく、ただ己の快楽の為だと認識し直されてしまうから。


「……王子が好きなのは、姫だけ、だろ?」
「………なるほどね」


奏斗の苦し紛れの言い訳に対して尋人は楽しそうに微笑み、首筋に唇を這わせた。


「やっぱり、お前は可愛いな…そんな理由がないと素直におねだりも出来ないのか」
「っ…んぁ」


たったその動作でさえも奏斗は甘い声を洩らして身を捩らせる。

我を忘れないと羞恥心が身を焦がしそうだった。
男なのに同じ男に本来受け入れるはずのないそこに男の象徴であるモノを入れられ受け入れ、そして蹂躙されて。
ましてそれを嫌悪するでも違和感を抱くわけでもなく快感を抱いて満ちている。

男の本能を失ったような自分。
そんな自分を意識して認識しながら、尚もその快楽を追うなんて出来ない。


「ねぇ姫……」
「っ……ひぁ…?」


起こしていた上半身を寝かした尋人が奏斗の腹部を撫でながら言う。


「この中に、今俺のが埋まってるんだよね……わかる?」
「ぁ……わかる……はいって、る……」
「なら、自分で俺を感じながら、自分が感じるように動いてみせて」
「っ!!」


額からうっすらと汗を滲ませていた奏斗だが、内部に埋まっている尋人を感じ、尋人に任せるのではなくて自ら快楽を追えと言われて赤かった顔が更に朱に染まった。


「ねぇ、姫?出来るよね?」
「ぁ……う……」


"姫"と呼ばれ、頬を撫でられて。
演技だと、こうするのも練習なのだと。
何度も言い聞かせて平気だと自己暗示をする。


「……お前が、それを、望むなら…」


それなら俺は、俺が出来ることなら何だって、馬鹿みたいに演技の練習だと自分を偽って恥ずかしい真似をしてやるよ。

奏斗は大きく息を吐きながら、体内に埋まっている尋人の存在を感じる。
そして、まずは奥まで突かれているそれを引き抜くように、ゆっくりと腰を浮かした。


「あっ…はっ………っっ」


ズルッと引き抜かれる感覚が、強引に動かされる時とは違う。
勢いに任せることは出来ないゆっくりとした動きが、尋人のものがナカを蹂躙するのではなく侵食されている感覚に似ていた。


「ふっ、あっ……はぁぁっっ」


引き抜いた後は、次はそれを自らの体重で内部の空洞を満たす為に、相手に勝手に犯されるのではなく、犯される為に自発的に動く。
抜く時はゆっくりになり、挿れる時は体重のせいで早くなる。
額に汗を滲ませながら、自分の好きなように気持ち良い所だけを突いてもらうように角度を変えながらひたすら動く。


「あっ、っ……んぁぁっ……は、ふっ…んっ……ひぁぁっ」


奏斗は辛そうにしながらも、顔は快楽に染めていて、目を閉じて快感だけを追う。
それをどんな目で尋人に見られているかなんて気付きもしなかった。


「…………奏斗」
「んぁ……」


頬に触れたのは熱く火照っている奏斗とは対照的な冷たい手。
奏斗がゆっくり目を開けると、そこにはぎらついた雄の目をした尋人の顔。


「あ……あ……」
「動けとは言ったけど、俺の存在を忘れ過ぎだよ」
「ひぁぁぁっ、い"っ……」


ギュッとそそり勃っていた奏斗のモノを握られ、奏斗は背を弓なりにしならせた。


「可愛い可愛い淫乱なお姫様。今度は俺が優しく籠に閉じ込めてあげるよ」


そういう尋人の顔にはどこにも王子の影はなく、奏斗という捕食者を手に入れた狩人のようだった。
自分を獲物として見つめているその眼を見た時、無意識に奏斗は喰われる、と思った。

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