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黒バス
絡み合い消えていく関係は 高緑
※とてつもなく暗いです
どっちも幸せになれません




「――嗚呼、俺はいつもこんな態度だから嫌われてしまうのだよ」
緑間はいま悲しみのどん底にいた。
高尾が、死んだ。肉体的ではなく精神的に。
猫が轢かれるのを庇って左腕と右足を失った。切断したらしい。
つまりもうバスケはできないのだ。
その時点で緑間の相棒は消えてしまった。
あっけない最後だった。いつものように軽口を叩きあって緑間の家の前で別れを告げ、最後には明日はじゃんけん負けねーから!と宣言し帰った高尾が。
“真ちゃんごめんな。今日からもう自転車焦げねーよ”
なんてメールが朝から来て。最初は冗談かと思ってた。それと同時にとても大切なものを失ったかのような絶望感が襲ってきた。
ふと、リアカーが盗まれたのかとも考えた。
でも、そんな冗談言うはずない。つまらなさすぎる。わずかな望みは自分で論破してしまった。
「おい、なにかあったのか」
あまりつかわないメールで用件を聞く。聞いてしまう。
そこで告げられた事実の酷さと言ったら…。


返信を読んだあと、すぐに高尾に電話した。
あいつはへらへらと笑っていた。
そのことがせつなくて悔しくて仕方がなくてつい、カッとなってしまった。
「何故、笑っていられるのだよ!……この際はっきり言うが、お前はウザったいのだよ。高校で一番に親しくなったからといって付きまうなどいい迷惑だ」
『え…ちょっいきなりなんだよ』
「ずっと思ってたことだ。お前といると自分がどんどん汚くなっていくんだ。お前のせいで苛められかけたことが何度あったか。お前が近くにいるだけで被害にあってるのは俺なのだよ」
『………』
「……べつに話さなくていいときはウザったいほどしゃべるのにこういうときだけ黙りか?都合のいいやつだな」
『だってなに話せばいいのかわかんなくね?真ちゃんが怒ってる理由もわかんねーし』
「俺は、何故笑っていられるのかを聞いているのだよ。それともお前のバスケに対する想いはそんなものだったのか……ッ!」
そこで気づいた。幽かに聞こえる泣き声。
『なんなん、だよっ!心配かけない様にって、思ったから、無理に笑っていたのに。こっちだってまだ気持ちの整理、全然ついてねえよ。……まだバスケしてーよっ!』
嗚呼、吁、そうだった。忘れてしまっていた。
こいつは自分の身を呈してでも他人を守ろうとするやつだった。
「………そうだよな。悪かった。俺が大人げなかったのだよ。そしてやっぱりお前も俺も馬鹿だったのだよ」
言ってから電話を切り電源も落とした。
相棒を喪い、親友を失った俺はこの先どうなってしまうのだろう。



――バスケットボールプレイヤーとしての高尾和成は現時点をもって、腕と足を失い死にました。

――緑間真太郎の親友としての高尾和成は現時点をもって否定され、消えてしまいました。

――バスケットボールプレイヤーとしての緑間真太郎は現時点をもって、右腕とも言える相棒を失い死にました。

――高尾和成の親友“だった”緑間真太郎は現時点をもって手首を切り、消えてしまいました。


最後に残ったの、だぁれ?

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