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黒バス
俯いて項垂れた瞬間 紫赤紫
「赤ちんは京都に行っちゃうんだよね…。俺は秋田だし」
悲しそうに敦が項垂れた。
僕はただ座っている敦の頭を撫でるしかできなかった。
秋田と京都。とてつもない遠距離。
「僕だってお前と離れたくない。でもしょうがないだろう?僕たちはこういう運命なんだ」
僕の言葉を聞いて敦はますます項垂れた。
「なんで赤ちんは簡単に割りきれるの?俺…赤ちんと離れるの絶対ヤダ」
僕は敦に対して仄かに怒りが沸いた。
僕だって敦と離れたくないし簡単には割りきれなかった。悩んで悩んで最後にやっと割りきった。
なのに敦は簡単に割りきれたと言ってきた。僕の気持ちも知らないで…!

「敦…お前は僕が直ぐに諦められるくらいの愛情しか注いでないと思ったのか?そうだとしたらそれは全くの勘違いだ。僕だってたくさん悩んださ。でもこれが僕たちの未来にとっての最善策なんだよ」
僕の想いをすべてぶちまけるが敦は理解できないと云った顔つきで僕を見る。
「俺は今の赤ちんと一緒にいたいんだよ…三年も離れてたくない」
敦の言い分もわかる。だから余計に心が締め付けられる気がした。
ここで僕は賭けにでた。本当は出発のときに言おうと思っていたが致し方ない。
「今の僕をとるか三年後の僕との未来を選んでくれ」
ここで言いたいのは今から始まる三年間を耐えたらこれから先の未来は全部敦に捧げるというプロポーズみたいなことだ。
「赤ちん…毎日電話するよ?休日はいきなり遊びに行くかもしれないよ?あとメールもいっぱいすると思うよ?それでも…いい?」
敦からの質問は全部okにきまっているだろう。
むしろこっちがやろうと思っていたことだったしな。
「いいよ。ありがとう、敦。大好きだ」
頬にキスを落とそうと思ったが身長が足りなかったので手袋もせず、冷たくなっている手をとりキスをした。
『まるで王子様の誓いのキスだ』なんてへらりと笑った君に僕はベタ惚れなんだ。
これからの三年間を祝福するかのように雪が舞い始めた。

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あきゅろす。
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