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Alice 礼猿
遠い、遠い、笑えない話。
――いつか私がいなくなったら君は独りで行くんですよ。
もう助けることができないのだから…。


「……んだよ。この夢……」
起きたとき頬に擽ったさを感じ、手を宛がうと一筋の涙が伝っていることに気づく。
宗像礼司は死んだ。
呆気ない死。……のように思える。
ダモクレスダウンなんてまあ、王としての役目を果たしたと言えば十分果たしたことになるのだろうが。
それでも一応恋人である自分をおいて一人、先に旅立つのはどうなのだろうか。

せっかくの休日だから、と思いっきり寝ておこうと思った矢先のこの夢だ。
室長は俺に恨みでも…うん。あるな。絶対に。

あの人が死んでから俺は独り、なるたけ周りの人間に迷惑をかけないよう過ごしてきた。
昔から一人でいることは多かったけれど本当に独りになると今までどれだけの人に支えられていたのかが身に染みてわかる。
中でも宗像が占めるものは大きかった。

昔、奇跡的に二人の非番が重なって。
デートをしたときはこっそり人混みに紛れて手を繋いだりして。
『こんなところで恥ずかしい。止めてください』と言った自分に『手を繋いでいると救われた気分になるのです』なんて笑い返された。
でも、本当に救われていたは俺の方で。じんわりと伝わってくる体温はゆっくりじっくりと固まっていた俺を溶かしていくようだった。
そんな、幸せはずっと続くわけはない。
ゆるり、とほどけた指はするり、と通り抜けていったら。
『俺は独りでいくんだな』



――――――――――――――
力尽きました\(^o^)/

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