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過去に戻ってやり直せたら 美(→)←猿
「ん?あ、猿じゃん」
「あ、美咲だ…」
ひさびさに猿比古に出会ったのはコンビニでだった。
ワックスが無くなっていたらしく髪型は中学のときみたいに下ろしたままだった。
コンビニだから、とお互いに武器を取り出すということはせず、中学の頃のように会話することになった。
これまたコンビニで長話もなんだから、と俺の家に移動。


「美咲の家、中学からなにも変わってない」
入ってそうそう猿比古がぽつりと呟いた。
「そうか?まあ寝る以外はそんなに部屋にいねーからな」
だいたいはBar.Homuraにいて部屋にはそんなに戻らない。
「懐かしい」
いつも座っていたベッド脇に胡座をかいて座り込む。
髪型以外は中学からそんな変わってなかった猿比古だから本当に中学時代にタイムスリップしたみたいだ。
冷蔵庫からコーラを出して渡すと笑った。
「お前本当にコーラ好きだよな」
昔に戻ったみたいだ。とポツリ呟く猿比古の頬には一筋の雫が流れていて、慌てて目を逸らす。
「ああ。コーラのおかげで尊さんに会えたようなもんだしな!」
咄嗟に振った話題は失敗。猿は表情を一転させて不機嫌を露にした。
「チッ……また尊さんかよ」
サッと涙を拭うとすぐに立ち上がった。
「じゃあなぁみさきぃ。俺帰るから」
ニヤリといつもの気持ち悪い笑みを張り付けた猿がなんだかとても悲しそうで。
気がつけば手首を掴んでいた。
「……なに」
「いや、なんでもねーけどさ…」
ここで離したらもう二度と戻れない気がして。
掴んでいる手に力がこもる。
「痛い。離せ。こっちは明日の仕事に備えて寝ないといけないんだ」
「ここで寝たっていいだろうが」
「ハッ大の男が二人でシングルベッドに寝ろってか?狭いだろ」
昔だったら喜んで泊まったお前ももういなくなってしまった。
むしろもう俺の知っている伏見猿比古はどこにもいないのかもしれない。
「じゃあな美咲ぃ」
パタリとドアが閉まる。

「……なんであんなに寂しそうな顔して出てくんだよ。バカ猿……」
さようなら。あのときおいてきた青春よ。

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