雪屑のエスカレーター ▽ 「津軽七美。」 跡部さんに、いきなり呼ばれてビックリして声の方を見ると、満面の笑みをこちらに向けていた。 「お前は短い期間だったが、よくテニス部の為に働いてくれた」 「はい」 「だから、俺を含めてここにいる奴は全員お前に感謝している」 「はい」 跡部さんの言葉や皆の温かい視線が、少しずつ私の心を温かくしていく こちらこそ、ありがとうが言いたい 初めは嫌だった 面倒事に巻き込まれたくない 地味に生きていこう けれど私はあれだけ苦手だったテニス部に助けられた。 2日前から、テニス部から離れようと思考を巡らせてきた 皆に甘えてはいけない 色々と理由をつけては離れようと努力した けど、皆は優しかった。 女子生徒の虐め事件以来、テニス部の皆は(大丈夫か?)と声をかけてくれて 「だから俺達はここで、お前に恩返しをしたい。津軽のマネージャー引退と誕生日パーティーだ」 嬉しかった 瑠樹以外に始めて誕生日を祝ってもらった。 皆が口々におめでとうと言ってくる。 2014/6/23[Mon] [*前へ][次へ#] |