雪屑のエスカレーター
▼忍足
部活が終わり教室に向かうと、七美ちゃんから岳人の事を聞いた。
まさか岳人が、七美ちゃんを見に行くなんて
始めは信じられなかったが、
岳人がまだ七美ちゃんを好きな可能性が有るのなら
俺は岳人に確かめなくてはいけない。
七美ちゃんには、先に帰るようにと伝えて
岳人の所に向かった。
「よう岳人」
「ん?何だよ侑士。」
制服に着替え終えた岳人に声を掛けた
そして俺は何故、七美の所に言ったのかと問い掛ける。
すると岳人は気まずそうに黙り込んでから
「気が付いたら、七美の所に行っていた。」
「それは……七美ちゃんの事をまだ好きと言うことか?」
俺の問い掛けに岳人は、黙って頷いた。
だから俺は岳人に、誤解の全てを取り払うため
噂の根底や、今の七美の状況を伝えた。
岳人は俺が全てを話終えたときには、苦しそうな表情をして
「そっか…俺の勘違いか」
「……岳人?」
疲れたように呟き、ほっとした様に笑っていた。
「なぁ、侑士」
「ん?何や」
それだけ七美の事を、岳人は好きだったからこそ
起きてしまったすれ違いだったのかもしれない。
「その話を信じる…けど、まだ七美と話すのに時間をくれ」
そう言って岳人は、俺に別れを告げて去っていった。
2014/11/24[Mon]
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