雪屑のエスカレーター
▼忍足
最近、七美ちゃんが、休みに教室からいなくなる回数が増えた。
妙だと思って後を付けてみると、七美ちゃんが向かった先は
女子生徒集団が七美ちゃんを取り囲んでいる、虐めの現場だった。
かなり暴力を受け続けているのだろう
七美ちゃんは泥だらけで、目には光がなかった。
「おい、何しとんのやお嬢さん方」
声をかけてみれば女子生徒集団が小さく悲鳴を上げて、蜘蛛の子散らすみたいに
その場を去っていく。
女子生徒集団が去った後には、その場に踞っている七美ちゃんが取り残された。
「七美ちゃん?」
俺が声をかけてみれば七美ちゃんは、顔を上げる。
助けようと手を伸ばすが、七美ちゃんは俺の手を取らずにいた。
しばらく待っていると、か細いで「助けないでっ」と七美ちゃんは言った。
「何でや?」
「だって……助けられなくても私は大丈夫」
そう言って体に大した力も入らない様子で、ふらふらと立ち上がる七美ちゃん
しかし直ぐに膝を着き、俺が支えると消え入りそうな声で「……岳人」と言った。
すると七美ちゃんはぐったりとして、意思を手放していた。
きっと七美ちゃんが、本当に助けて欲しいのは俺やない
……岳人や
なぁ、岳人。七美ちゃんはお前の事を………
2014/11/23[Sun]
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