雪屑のエスカレーター
▽
あの女子生徒に呼ばれた時の、岳人の様子が変だった。
何かあるのだろうか?
「ねぇ侑士。」
「ん。何や?」
「ちょっと気になるから、私言ってくる」
私がそう言うことを予想していたのか、侑士は「気い付けや」と一言、言ってくれた。
私は岳人と女子生徒が向かった、屋上へと向かい空いたドアの近くに静かに座り込み。
ドアの手前から、屋上に目を向けた。
そこには岳人とあの女子生徒が話し合っていた。
しかし声でまでは聞こえなくて、ただ2人の口の動きで何か話していると言う観察しかできない。
しかしその様子に変化が有った。
女子生徒が岳人に泣きながら抱き着いた。
「っ…………!!」
何故か居場所を失ったような気がした。
胸の中で靄がかかったような、違和感と悲しさが込み上げてくる。
涙が頬を伝う感触と
詰まるような息の中私は、その場を離れた。
2014/11/17[Mon]
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