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雪屑のエスカレーター



飛び降り終わり断崖絶壁の上に戻ると、私は泣いてしまった。


「…ごめんな」

岳人は慌てて謝る。
確かに怖かった…

漠然とした恐怖が有ったけど、岳人が繋いでくれている手だけは安心できた。

だけど飛び降りて怖かったのと、驚きで涙が止まらなかった。

そんな悲しい顔を岳人にさせたい訳じゃないのに、このままだと誤解されてしまう。
私はなんとか岳人に気持ちを伝えようと言葉を紡ぐ。

「だ、大丈夫。確かに怖かったけど、岳人が楽しいのが伝わってきた。それに……」

「ん?それに?」

「岳人が手を繋いでくれたから安心できた。」

そう言うと岳人は、目を大きく開いて一瞬固まった。

私変なこと言ったかな?。

「あ、あの岳人?。変なこと言ってごめんなさい。」

すると岳人は我に帰ったように、私を見て微笑む様な困った様な表情を浮かべていた。

「違うんだ、何て言ったらいいか…嬉しかったんだ」

「へ?」

嬉しかった?
何に岳人は嬉しくなったんだろうか?
私が不思議そうに岳人を見ていると、岳人は話を続ける。


「七美が思ったことを話してくれたにビックリしたと言うか、嬉しくなった」


「どうして?」

「七美は思ったことを大体は言わないだろ、だから特別な感じがした」


岳人はバンジーする時よりも、嬉しそうな笑顔を私に向けた。

私も岳人の嬉しそうな笑顔につられて笑った。

バンジージャンプはもう終わったけど、握られた手は温かくて
その温かさが私はとても心地よくて、安心できた。




2014/11/8[Sat]

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あきゅろす。
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