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雪屑のエスカレーター
▼向日




「……あっ!!」

宍戸と離れると偶然にも向かう先に七美が居た

七美もこっちに気が付いた様で、こちらを見ている。

「よ、よう。」

昨日の侑士に言われた事が頭をよぎる
何と無く七美の顔が見辛くて、目を反らす

まだ確信に至った訳じゃ無いんだ、 落ち着け俺。
「奇遇だな…」

「そうだね」

七美に目を向けると、じっとこちらを見ている。
沈黙が流れて、あまりの気まずさに声をかける

「あのさ」
「あの……」

七美と言葉が重なる。
何だよ、このベタな展開はと、内心ツッコミながら七美にもう一度声をかける。

「昨日は……悪かったな」

「私も無神経な事言って、ごめんなさい」

そう言って七美は、深々と頭を下げる。
今更になって悪いことしたな、と 頭を下げる七美を見て思った。
確かに七美は、いまだに幸せな環境に溶け込めきれていなくて
きっと不安な表情をする事がある。
けど俺がコイツを幸せな環境に連れ出そう
コイツが慣れるまで。

「なぁ、七美」

「?」

「今から時間有るか?」

「うん」

「あのさ…今から行きたい場所あるんだけど、付いてきてくれないか?」

ゆっくりで良いから七美の事を支えよう
いつかコイツが心から、色々な事を楽しめるように。

でも先ずは、一緒に楽しめる事をしよう。

「……うん。あの岳人、何でそんなに嬉しそうなの?」

「付いて来れば解るって」

俺のお気に入りの場所に行けば、きっと七美も楽しいだろう。

「何でだろう、嫌な感じがする……」




2014/11/8[Sat]

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