雪屑のエスカレーター ▼忍足 俺は家に帰ると直ぐに携帯で、岳人に電話をかけた。 いつもなら電話に出るのが早い岳人だが、今日はなかなか電話に出る気配がなく俺は、しばらくの間呼び出し音を聞きながら待っていると 『はい、もしもし』 「もしもし、岳人」 受話器から元気の無い岳人の声が聞こえる 『どうした侑士?』 「どうしたも、こうしたも無い!! 。津軽さん泣きそうな顔して道端に立ち尽くしとったで」 『……』 息を飲むような気配と、明らかに動揺している岳人の様子が携帯越しに伝わってくる。 絶対に岳人は津軽さんの事で悩んでる、そう俺は確信した。 「話し聞いたらな、岳人が怒って先帰ってしもたって言っとったけど」 『……そうだ』 短い答えが帰ってきた 「何でや?、岳人が津軽さんに当たるなんて珍しいやんか」 『なぁ…侑士、もしさ仲の良い奴に、優しくされることが怖いと思われてたらお前はどうする?』 岳人の言葉に俺は驚いた 初めは岳人が津軽の事を恋愛対象として見始めて、動揺しているかと思っていたが 岳人から来た言葉は以外と重い質問だった。 「……俺やったら、辛いな自分のやってた事が解らなくなる。ほんまに仲ええんかって?なるな」 2014/9/27[Sat] [*前へ][次へ#] |