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雪屑のエスカレーター




「何が?」

表情を曇らせて、落ち込むような声音

「お前さ、俺らが優しくする度に辛そうな顔するよな。いじめられている合間は無表情な癖して」


「多分、急に変わったから……今までそういう人が居なかった。それに岳人はどうして私に構うの?」


どうして気にかけるの?
もう私は一人じゃない、氷帝の皆やクラスメイトもいる

それでも前よりも岳人は、私に構ってくれている。

「……それは。心配だからだ。」

「……でも、それが怖いよ」

私達はしばらく黙り込み、その場に立ち尽くした。
長い沈黙に耐えきれ無かったのか岳人は鞄を背負い直して

「ごめんな変な事聞いて、俺先帰るな」

気まずそうに言い放ってから早足で歩き去っていった。

私はと言うと、その場に立ち尽くしたまま、ぐしゃぐしゃな頭の中を必死で整頓していた。

今まで私の心に踏み込んでくるのは瑠樹だけだった。

今は色々な人が心に踏み込んでくる、皆は優しくて、でもその優しさに反比例して私の心に雪みたいな罪悪感が降る

そして岳人に私は甘えている

嫌われたくないと思っている……あの人だけには憎まれたくないと、そう思い始めている。

夢の中で偽物の岳人に嫌われたときを思い出すと、あの優しさを失う事が苦しいと感じた
深く絶望して全てが怖かった。

はじめから優しくされなければ良いと思えるくらいに。

矛盾している
優しくされたい、けど優しくされたくない

私は変なんだろうか?






2014/9/13[Sat]

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