雪屑のエスカレーター
▽
嗚呼…可愛いかった けど、今日の夢は変。
いつもは私一人で雪景色の中にたたずむだけなのに
そして…一人だと酷く実感して懺悔するしかないのだ。
脳裏には誰かにいじめられる記憶が走馬灯見たいに走る
「………っ、いつもの夢に戻った」
また私一人になった。
冷たい空気、誰かの嫌がらせと悪口
胸が引き裂かれそうになった瑠樹が居なくなった喪失感。
夢の中だと毎回ながら、色あせることなく心の底から沸き上がってくる。
「……お前、いい加減にしろよ。楽になれると思ってんのか?」
聞き慣れたいじめの文句、だけどその言葉を発している声が岳人だった
「っ!」
振り替えれば、いつもの格好の岳人がそこには立っていた。
「岳人…」
「うるさいっ!」
次の瞬間思いっきり殴られていた。
「っう゛」
痛くて、何より岳人がこんな事をするなんてショックで
夢の中であることを忘れて怖かった。
岳人を見ると今まで見たことがないような憎しみの隠った目で、こちらを睨み付け
「いつまでも幸せに浸れると思ったら大違いだぜ!?」
「………!!」
何言っているの?
声が出なかった。
岳人がそんな事を言うとは思わなかったから。
夢であっても…
「俺達に仲間だと思われているとか……勘違いしてんじゃないだろうな!?」
「……」
夢なのになぜか、現実に引き戻されたような気がした。
今まで皆が優しかったのは、皆嘘で
目が覚めればまた元の生活に戻ってしまうんじゃないのかと思う。
「ごめんなさい。勘違いしてた…もう近付かない、許さなくていいです」
感情をもう一度消そう
表情を無くそう
2014/7/5[Sat]
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