雪屑のエスカレーター
▽
そうして、私が正式にマネージャーとなって1ヶ月がたった。
「跡部さん。書類を持ってきました」
生徒会長と言うこともあってか、多忙な跡部さんはここ最近生徒会室に缶詰になっていた。
そんな跡部さんが、部活のスコアやデータを欲しいと言い
仕方なく重い書類の束を生徒会室まで運び入れた。
跡部さんの前に書類の束を置くと
「嗚呼すまないな。ご苦労。」
「いえ、大丈夫です。」
私はそう答え、跡部さんは、小さく苦笑してから、私の背後を見た。
ドアの方をジッと睨んで、やれやれと肩をすくめている
「おい、出てこい向日」
呼ばれて観念したのか、ドアの方から息を切らした向日さんがいた
「な、何だよ気付いてたら先に言えよ」
「隠れている方が悪い」
鼻で笑ってから跡部さんは、書類に目を通す
もう向日さんは眼中に無いようだ。
「よし、津軽行って良し」
「はい、失礼しました。」
生徒会室から出ると、向日さんが待ってくれていた。
「なぁ津軽、また女子達にいじめられてないか?。ここまで来るのに何か危険な目に会わなかったか?」
私が正式にマネージャーとなった、その日から向日さんは私に更に関わるようになった
そして毎回1人でどこかに行く度に、同じ事を行ってくる。
この前、忍足さんに相談してみれば彼は爆笑して
「岳人もすっかり過保護やなぁ」
とっても楽しそうに笑い転げていた。
私からすれば笑っている場合じゃない
確かに嫌ではないけど、色々と困る事がある
そんな私の考えを知ってか知らずか忍足さんは
「ええお兄ちゃん出来たやん」
と、どこか嬉しげに言っていた。
2014/7/2[Wed]
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!