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雪屑のエスカレーター




その日の放課後。

向日さんと他愛もない会話をして一緒に帰っていると、向日さんは何か思い付いたように話しかけてきた。


「なぁ津軽、他人行儀ぽいから、名前で呼んでみそ」

「え?、でも今のが慣れているから良い」


た、確かに向日さんとは仲良くなったけれど
今まで他人を名前で呼ぶ事が無かった私はかなり緊張した。


「俺は呼べるぜ、なぁ七美?」

「ふぇ!?」

な、名前で呼ばれた
向日さんが呼んだ、呼ばれたし私も呼ぶしかないか

「が……岳人」

私が意を決して名前を呼ぶと向日さんは、とても嬉しそうに笑ってから私の頭を撫でた。

「ありがとう、七美」

今更ながら岳人は私と年は同じだけど、お兄ちゃんみたいな存在だと思う。

だけどこの優しさに浸っては駄目だと
私の奥底から警告音が鳴り響ていた。

岳人には申し訳無いけど、まだ人の優しさに私は完全に馴れきってはいない。
優しくされると酷く怯えてしまう

それを知られたくなくて、私はぎこちないかもしれないけど微笑んで答える。

「うん」

私が笑うと、岳人は笑う。

これで言い
貴方は私の闇を知らなくて良い

私が傷付くと
何故か岳人は傷付いた表情をするから








2014/7/5[Sat]

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あきゅろす。
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