雪屑のエスカレーター
▽
テニス部の皆の言葉が、温かくて優しくて
私は胸が一杯になった。
「ありがとう」
気付けばそう口にしていて、心からありがとうと言う言葉が出てきた。
今まで張り積めていた緊張の糸が切れたような気がした。
ここにいる人達は私を、嫌ってない、憎んでいない
皆私を認めてくれている。
「っ……おい、津軽!?」
「お嬢ちゃん、泣いてんのか?」
え? 向日さんと忍足さんの言葉に驚きつつ
頬に手を当てると涙が指先に付く。
「……何で?。何で涙が?」
そう言っている間にも、涙がぽろぽろと目から溢れて頬を伝う。
悲しくもないのに、どうしてだろう?。
戸惑っている私に
跡部さんは、ぽんと頭を撫でてハンカチを差し出す。
「嬉し涙だろ。お前は今、嬉しいから泣いてるんだ」
「……っ、あの」
ハンカチを受け取りながら、何とか言葉を口にする
「一週間ありがとうございました。皆さん優しくて、とても楽しかったです。」
心から感謝を伝えたくて、ありがとうと言う意味を込めて頭を下げた。
2014/6/25[Wed]
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