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雪屑のエスカレーター




しかし瑠樹はその数日後、この世を去った。

病状が急変したらしく、そのまま。


「七美さん、これで解決したわね」

両親の事故死から今まで、瑠樹と私の金銭面で世話をしてくれた父方の叔母は瑠樹の保険金を手にしながらせいせいしたとでも言いたいように、そう呟いた。

「はい…」

今はこの態度の叔母に怒りを感じず、ただただ瑠樹を失った喪失感だけが頭にいっぱいに膨れ上がっていた。

叔母が瑠樹の病室を出ていき、眠っているかの様に死んだ瑠樹と私が残される。

すると今まで涙が出なかったのに、せきを斬ったように涙が溢れてきていた。


そして気付けば住んでいる10階建てのマンションの屋上に向かい
今やフェンスの外にいる。


そこから見る景色は、やけに綺麗で、ここから落ちれば全てが終わる
この景色とも、世界から永遠にサヨナラだ。

もう疲れてしまった。
だからね、サヨナラ。


そう思いフェンスを掴む手を離し、私は落ちていった。

何も考えなかった
全てが終わることを信じて…



しかし、やって来るハズの身体の痛みや衝撃はなく
誰かの声が聞こえた

「七美、おーい目を覚まさんか」




2014/2/12[Wed]

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