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雪屑のエスカレーター
▼向日



津軽が跡部に家へ送られてから、
妙に津軽の事が頭から離れなかった。


別に跡部に不満がある訳じゃない
ただ、今日の津軽を見て思った事がある
アイツはきっと
氷帝に来るまでにも虐められて
それであんな、人形みたいな無表情をするんじゃないかと思う。

きっと辛いことが
幾つか積み重なってなったことだろうから

そう簡単には治らないだろうけど。


でも俺は…
津軽に笑って欲しい

アイツが笑ったところを見たことないのもあるけど
何故だか津軽には
不思議と幸せになって欲しかった。


どうすればアイツは笑うだろう


そんな事を考えていると
一緒に下校していた侑士が
「ほんまに珍しいわ、岳人が何か考えとる」

「うっ、うるせいな!!。俺だって考える時くらいある」

全く侑士は俺を、何だと思っているんだ?

不貞腐れた気になって、俺が剥れていると
侑士は少し困ったように眉を潜めて

「すまんな岳人。……もしかして考えとる内容は津軽の事ちゃうか?」


「嗚呼そうだ。アイツは何か放っておけないからな」

「せやな。何か危なっかしいよな」

「だよな…」

そう、危なっかしい
自分で自分を守ろうともしない
ただ、相手に立ち向かっていくだけだ。

自分が傷付くことを恐れない。
自分が酷くどうでも良い奴。

俺には今日の津軽が、そう見えた。









2014/6/17[Tue]

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あきゅろす。
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