雪屑のエスカレーター ▽ 私はただ、 岳人が怒っている表情を見て動けなかった 私は岳人を怒らせてばかりだと、そう思った。 「めちゃくちゃにすんぞ、俺の物になっちまうぞ。お前はそれでいいのか?お前の気持ちは何処に有んだよ!!」 「………抵抗する理由が無い」 「!」 一瞬私を引き寄せる腕がビクリと動いた 岳人は私を驚いたように見詰める 「……けど」 「……けど?」 私の言葉を必死に聞くようにして、 オウム返しの様にして聞いてくる岳人 伝えて良いのだろうか また岳人を怒らせてしまうのではないだろうか 言葉に迷いながら、思いきって口を開く 「けど…私は岳人に嫌われるのは嫌だ」 言葉を失ったかの様に、 岳人は口をぱくぱくとさせる 「私、岳人に嫌われてしまうのが怖い。他の人に嫌われる以上に怖い」 岳人が大切過ぎて、 拒絶されたら私は壊れてしまう 「初めは恩人だから尊敬してた従おうと思った……でも岳人といると私、私は岳人と一緒に居たいと思ってしまう。岳人と離れたくない、拒絶されたくない」 2014/11/24[Mon] [*前へ][次へ#] |