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雪屑のエスカレーター




ジャージから制服に着替え直して、荷物をまとめる。

教室を出ようとドアに足を進めると、教室のドアが開いた。

そこには息を軽く切らした、向日さんが居た。

忘れ物だろうか?

前の私ならきっと
、どうして教室に来たかくらいは、
聞くんだろうけれど
今の私はできない。

だから、軽く頭を下げて
「お疲れ様です」

挨拶をして去ろうと、
彼を横切りドアから出ようとすると

後ろから岳人の手が伸びてきて
ドアから出ようとした私の腕を掴む

私は振りほどけず、そのまま岳人の方へと向き直る

「逃げ出さないんだな…。もう、お前が俺の近くに来ることは無いんじゃないかって思ってた」

「岳人こそ……私の近くに来ないと思った」

「………」

黙り込んでしまったけど、代わりに私の腕を掴んでいる岳人の手が震えている

「誤解が溶けたとはいえな……それまでお前の事を避けてたし、急にまた優しくしたのが気紛れだって思われても仕方がないと思ってる。」

うつ向いたまま少し震えた声で岳人は私に話す
久々にこの距離で話した気がする

「気紛れなんかじゃねぇけど…俺は…俺は」

何か言いづらそうに言葉を詰まらす岳人
同時に掴んでいる手に、私が痛く無いように力が込められていく

気紛れじゃ無いのは解っている
岳人は不器用だから、そんな策士はできない

でもだからこそ解らない
単純で優しい人だから、人柄の良さから私が放って置けないのか、それとも私自身を思って気にかけているからなのか




2014/11/24[Mon]






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