雪屑のエスカレーター ▽ 翌日、私は岳人と仲直りした事が嬉しくなって、いつもより早めに部室に向かう。 仲直りの手伝いをしてくれた忍足さんに、感謝の気持ちを伝えたくて 早くマネージャーの仕事を片付けた。 部室にいつものように挨拶に来る跡部さんに会うと 「どうやら、仲直り出来たみたいだな」 と言われる。 「解りますか?」 そんなに顔に出ていただろうか、なんとなく恥ずかしくなって聞いてみると 「顔に書いてあるぜ。なぁ樺地」 跡部さんが背後に控えている樺地さんに問い掛けると頷き 「……津軽さん、嬉しそう」 珍しく意見を口にする。 樺地さんが言葉にするほどに、私解り安かったんだ。 更に恥ずかしくなって、うつ向きため息をつく。 そんな私に跡部さんは、微笑みながら 「とは言っても、向日の奴が解りやす過ぎるくらいに跳ね回っているがな…」 ん?……跳ね回っている!? 意味が解らず首を傾げていると、樺地さんが気を使って部室の窓を開けてくれる。 窓の向こうには、制服のまま満面の笑みを浮かべてムーンサルトや色々な宙返りをして見せている岳人がいた。 「な、解りやすいだろ?」 半分呆れた表情で跡部さんは、窓の向こうの岳人を見て、私にそう言った。 「………はい」 私は自分以上に、岳人が恥ずかしかった。 けど、仲直り出来てよかったとそう思う。 2014/11/9[Sun] [*前へ][次へ#] |