小説〜ゼルダの伝説〜 とある崖の上で。 家族も友達も居ない。そんな中、私独り残された。 どうしろっていうの。ねぇ神様? 私を解放して。もう見逃してよ。 私は私を殺す。きっとこれでは天国へ行けないだろう。 けど、それでいい。今の苦しみから逃れられるなら。 「死ぬの?」 まだ幼い声がした。おかしいわ、この場所は私ぐらいしか知らない場所なのに。 後ろを振り向くと、緑の服を着た男の子がいた。 『そうね…そう思ってたの』 今更隠す必要もない。 「此処、僕のお気に入りの場所なんだ」 『私もよ』 「眺めが綺麗なんだ」 『そうね。綺麗よ、悲しいくらいに』 「なんで死ぬの?」 『独りだから』 「これからも?」 『きっとね』 「じゃあ」 「僕がお姉さんのお婿さんになってあげるよ」 『まあ、ありがとう』 『けど、私なんかと一緒になっても、幸せにはなれないわよ?』 「七年後」 『え?』 「七年後、お姉さんを必ず幸せにする。それまで待ってて。もう独りじゃないから、死なないで待ってて」 その言葉は子供が言った言葉だというのに、とても嘘とは思えなかった。 何故か懐かしく感じ、自然と涙が頬を伝う。 『…そう…ね…七年…待ったげる…だから…幸せにして…ね』 ☆ [*前へ][次へ#] |