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特別記念小説
九万HIT記念短編小説
六月四日。今日はある人物にとって大切な日。皆はそれを祝おうと必死になってある準備を進めていた。
 その日の勤務は特に変化は見られない。全員が無事に仕事を終わらせて自由に過ごし始める。

「ん〜〜!終わったぁ!」
オフィスでファルドの仕事を代替りでやっているクルヴィスも例外ではなく、時間通りに職務を全うした。
 ミスが無いかを確認すると、席を立ち隊舎を歩く。すれ違う人物の何気ない会話に耳を傾けながらの情報収集も欠かさない。

(何か面白い話転がってないかな〜♪)
他愛ない会話をBGMに、適当に歩き回る。そしてたまたま見つけたのが医務室。
 特に用事も無いが、暇を持て余しているだろうと思い(ついでに世間話)中に入る。

予想通り暇そうなシャマルが居たが、いつも以上に笑顔だ。機嫌が良いのか鼻歌まで歌っている。

「シャマルさんこんちゃーす。機嫌良さそうですね」
「あら、クルヴィスさん♪もちろんですよ♪何といっても今日ははやてちゃんの誕生日なんですもの♪」

(ほほう、はやて部隊長の誕生日とな…)
ほくそ笑むクルヴィスの脳裏に浮かぶのは、八神はやての最強の彼氏ことファルドの顔。
 何をプレゼントするのか気になったので会うことにした。

「用事思い出しましたのでさようなら〜」
「はぁ〜い♪また来てくださいね♪」
笑顔のシャマルに見送られ、医務室を後にしたクルヴィスは走って訓練場に向かう。どうせ一人残って馬鹿みたいに訓練してるのだと思って。





「…………」
予感的中。まさにその通りだった。尋常ではない訓練メニューをやり始めている。
 呆れながらもクルヴィスは回避訓練(傍から見れば銃撃の雨の中を高速で避けている)をやっているファルドを呼び止めた。

「一佐ー!ファルド一佐!ストップ!」
「なんだクルヴィス。今から訓練始めるってのに…」
「いや、分かりますけど…。ところで一佐、今日は何の日か知ってますか」
「?。今日は…六月四日か……何かあったか?」

クルヴィスが派手に転ける。

「いやアンタ!彼女の誕生日忘れますか!?」
「彼女の……………あぁぁぁぁー!はやての誕生日か!」
「そうですよ!…で、何かプレゼントする予定は?…って聞くまでも無いですよね」
「ぅぐ…!返す言葉も無い…」
はぁー。とため息を吐きながら肩を竦めて首を振る。
一方のファルドは訓練なんてそっちのけ、頭を抱えていた。

「ヤバイ…どうすればいいクルヴィス…」
「いや俺に聞かれましても……」
「今から何か買いに行くにも時間が時間だしな…」
「……あ、閃いた」
「なんだ?」
「手っ取り早いというか、はやて部隊長に最高のプレゼントがありました」

「どんなだ?」
「簡単ですよ♪ファルド一佐♪」

……この時、ファルドの果てしない嫌な予感は的中していた。








―部隊長室

「もー、皆気ぃ遣い過ぎやて…」
テーブルの上には大量のプレゼントが乗っている。全て大切な友人達からの贈り物だ。
 しかし、はやてはある人物から貰っていない事に気がつく。最愛の彼氏から、何も貰っていない。

「…忙しいみたいやし、しゃあないよな…」
半ば諦め掛けていたが、ドアがノックされる。誰かと思ったが、ドア越しの声に聞き覚えがあったので通した。

「……」
ファルドが照れ臭そうにしながら部隊長室に入る。はやてはそれを笑顔で迎え入れた。

「ファルド君、今日もお疲れさまや♪」
「ああ……その、はやて。すまん!」
「え?なに?…何で謝るん?」
「今日がお前の誕生日だってすっかり忘れてて…誕生日プレゼント用意してないんだ…」

「何や、そんな事気にしてたん?別にええよ、ファルド君忙しいんやし」
「……だから…こんなものくらいしかプレゼントしてやれないんだが……」
と、ファルドがはやてを抱き締める。突然の事に、流石のはやても顔を真っ赤にした。

「え?え?」

「……今日は、俺がはやての誕生日プレゼントって事で……いいか?」

「…………ありがとうな♪」
 頬を赤く染めたはやてが、満面の笑みでファルドを抱き返す。
そんな一部始終に聞き耳立てていたクルヴィスは笑いを堪えていた。


(まさか…本当に効果があるとは。お幸せに、お二人さん♪)
感付かれないようにその場を離れ、上機嫌で部屋へと戻る。



翌日、そんな熱い関係をバラしたクルヴィスに、ファルドが本当の地獄を見せたのは言うまでもない。

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