特別記念小説
感想百回突破記念小説
「……」
現在昼休み。生徒達はお昼にありつこうと戦争を始めていた。食堂の食券売場前に人々がごった煮している様子を藤谷は顎に手を当てて眺めている。
「相変わらず大人気だなぁ、食堂って」
銀髪メガネの勇誠は余裕綽々、隣に並ぶと眼鏡を押し上げた。昼飯にありつけないかもしれないのに、何故余裕なのか疑問に思う。
「余裕そうだな」
「ん?だって僕弁当だから」
わざわざ食堂に来てまで弁当を食べる辺りほとんど嫌がらせだ。
「それじゃ、僕は先に食べてるよ〜♪」
「教室で食べろ」
「嫌だよ。退屈だし」
「……早く行け」
一人残され、どうするか悩む。無理矢理通ってケガをさせる訳にもいかない。
「藤谷。行かないのか?」
「……」
緋神がやってきた。返り血が着いているのは気のせいに違いない。手には食券が握られている。どうやら戦利品のようだ。
「よく手に入れたな」
「結構大変だった。急がないと半ライスだけになるぞ」
「それは困る」
「それじゃ、頑張れ…」
緋神が去っていく。
ふと、脳裏をよぎるバルナの台詞。
――そういう時は力づくで行くんだよ!
「……力づく…」
だけどケガをさせたくは無い。どうしたものかと考え、最近読んだ本の内容を思い出す。
(……怪我人は出ない。よし、やってみるか)
藤谷は実行に移す事にした。まず太股に手を伸ばす。そこから取り出した物を天井に向けて構えた。
バンッ!
食堂に響き渡る銃声。その場に居た全員が凍り付いた。
「特製Aランチを要求する!道を開けろ!さもなくば…」
黒い銃を向け、ハンマーを上げる。
「乱射する!」
「生活指導担当教師キーーーック!!!!!!!!」
突然衝撃波が発生するほどに凄まじい勢いの飛び蹴りを食らって藤谷がテーブルを三台程巻き込んで吹っ飛んだ。
蹴り飛ばした教師は眼鏡を直し、襟を掴むと食堂から出ていく。
「学園で銃を射つような不良には俺が生活指導室という牢獄でマンツーマンのありがたい話しを聞かせてやるからこっち来なさい」
引きずられながら藤谷は朦朧とする意識で思った。
(ああ、そういえばこういうオチだった…………)
勇誠は笑いながら弁当を突いて見送り、緋神は完全に他人の振りを決め込んで蕎麦をすすっている。
「あんな事しなくても…」
「購買行けばよかったのに…」
「王手ぇ!」
「おうまいがっ!?」
公園では将棋をやっている若者がいる。当然昼飯を賭けて。
今日も街は平和だ。
〜後書き〜
はい、感想百回記念という訳でめでたくtnfgさんのリクエストに答えました。
こんな感じでどーでしょーかー?
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