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Strikers Fire -If Story-
七頁

【白蓮チーム】

 ──命蓮寺に姿を見せなくなったのは、ここ最近の事だ。

「姐さん、彼は……」
「分かっています」
 雲山を連れて一輪が尋ねる。その言いたい事は分かっていた。

「それにしても、なんなんでしょうねここ? 何か私には居心地良く感じますけど」
 村紗は怨霊だ。人にとって害悪な存在であるにもかかわらず、それが居心地良いとなると此処は魔界に近い何処かなのだろう。

(それにしても、ここが)
 マスターが作り出した場所だというのなら、一体どれほどの脅威となりえるのか。

「寅丸は何故か来れないし」
 その原因が宝塔にあるとは知らない。
 先行していた妹紅チームに追いつく。

「あれ、聖達じゃん。随分速かったね? てっきりあの仙人達と喧嘩してくると思ってたのに」
 ぬえが逆さになりながら意地悪く笑う。そういえば今回の件には珍しく協力的な姿勢を見せていた。
 青娥も聖達に気付いたのか、横目で盗み見るが下手な接触は神子の権威に関わるので避けているようである。ただし、その思惑はまた別に向いていたが。

(ふふ、かの藤原家の娘。それも不老不死とは……上手く取り入れる事が出来たら……。しかも念願の彼が異変を起こしてるとは運が向いているようですね。実力の程を知るいい機会です)
 その青娥からは見えない、妹紅の横顔は見るからに必死だった。歯を食い縛ってはやる気持ちを抑えながら。

(なんで、マスター……)
 こんな騒ぎを起こすような青年ではないと妹紅は知っている。確かに騒ぎは起こすし、迷惑を考えないような無礼極まりない男だが、こんな事はしない。
 問題を起こすが、それは決まって自分が不利にならない物だ。妹紅自身、それはマスターの口ぶりから知っている。

(あら、あら。随分血気盛んな貴族ですこと。もしかしたらこれは……)
「なー、せーがー。せーが」
「どうかしたの、芳香?」
「誰か居るぞー」
「?」

 足を止めた。

 そこに、一人の男がいた。居るとは思っていなかった人類種における最強がいた。

「……すまないが、お引き取り願おうか」
 そいつは、それだけの妖怪を前にしても怯むことなく毅然とした態度で立ちはだかる。己の背後に潜む魔物もまた人間だと、そう信じて。
 紅の絶壁が、立ちはだかる。

 ──そして、その隣にもう一人。

「まぁ、俺としても不本意だが。出来れば下がってくれ。これはこっちの管轄だ」
 紺色の管理人が並んでいる。左腕に鎖を垂らして、右手に黒塗りのナイフを持って。
 二人の男が、白蓮達の前に立ちはだかる。

「申し訳ありませんが、こちらとしても彼の下に馳せ参じなければなりません。この異変は人間にも、引いては妖怪にも脅威となりうるのです」
 現時点で被害者は出ていないのがまるで奇跡だ。白蓮はその手に魔人経巻を広げる。

「お退きください、そうでなければこちらも不本意ながら実力行使で参ります」
「こちらとしてもそれは非常に不本意だが──これも私の職務だ。私情で道を空ける訳にはいかん、白蓮公」
 右手に西洋剣、左手に大口径の銃を握り締めてホーウェン・ロックバルトは妖怪の前に立つ。

「……いつの時代も人間は愚かで自分勝手である」
「それが人間だ。そしてそんな人間を守り通すのが私の仕事だ」
「──いざ、南無三!」

 妹紅達の前には、ロイ・ゼロウィルグが立っている。

「悪いけれど、私も色々事情があってね。そこを通してもらうよ!」
「こちらとしても複雑な諸事情があるんだが……聞いてない、か」

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あきゅろす。
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